【高円宮杯U-15】ボランチでも「目標は岡崎慎司」。清水Jrユースを三冠に導いたキャプテンの心意気!

2016年12月29日 川端暁彦

自らのミスを帳消しにする同点弾。「自分が決めることしか頭になかった」

今季、中学年代の大会で三冠を達成した清水エスパルスジュニアユース。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 中学年代の日本一を決する高円宮杯全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会の決勝戦が12月28日、東京都の味の素フィールド西が丘にて開催され、清水エスパルスジュニアユースが北海道コンサドーレ札幌U-15を3-1のスコアで撃破。通算3度目の優勝に輝くとともに、史上2度目となるジュニアユース年代の三冠(春のJFAプレミアカップ、夏の全日本クラブユース選手権、冬の高円宮杯)を達成した。
 
 停滞感やマンネリ感を漂わせることなく進歩を続けたオレンジ軍団。そのイレブンを引っ張ったのが、キャプテンでボランチを務める川本梨誉だ。
 
 三冠を懸けて臨んだ決勝戦は、開始早々にセットプレーからの混戦を押し込まれて失点するという最悪の形でのスタートだった。この失点、実は川本のクリアボールが相手に当たって入ったもの。しかし大事な決勝で「自分のミスから失点してしまった」というものの、弱気なところはまったく感じさせない。「絶対に自分が決めるということしか頭になかった」と前を向いた。
 
 そんな姿勢が実ったのは前半11分のこと。右サイドからのスローインを受けて前を向くと、ロングレンジながら「迷わずに」シュートを選択。相手守備陣が予想していなかったであろうシュートは、GKのニアサイドを破ってゴールネットを揺らすこととなった。失点から5分後。このゴールで勢いを得たチームはそこから2点を追加し、3-1と一気に逆転。後半は相手の攻勢にも耐えて逃げ切り、3つめのタイトルを勝ち取った。
 
 川本は昨年のチームでも活躍し、飛び級でユースチームにも帯同するなど高い評価を受けてきた選手。元々はFWなのだが、そんな川本に対して岩下潤監督はボランチでのプレーを命じてきた。意図するところはひとつ。攻撃"だけ"の選手から脱却させることだ。
 
「(以前の川本は)ボールが来たら頑張るような選手だった。ただ本人には『守備のできない選手は上に行けないよ。世界で守備をしない選手なんていないぞ』という話をしてきました」(岩下監督)
 
 自分のプレーしか考えていないような面もあった川本だが、ボランチを経験することでゲーム全体を観て判断するような戦術眼も身に付けた。これまた岩下監督の狙いどおり。今は「まず守備から」と語るほどにフォア・ザ・チームのプレースタイルを身に付けつつある。

次ページ苦しい時間帯に見せた「背中で語る」プレーは指揮官の教えの賜物。

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