36歳の憲剛はなぜMVPを獲れたのか――大切にした“自分と向き合うこと”

2016年12月21日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「MVPは獲りたいと思っても、簡単に獲れる賞ではない」

リーグ戦ではチームとして結果を残せなかっただけに、中村自身は自らのMVP受賞に「多少驚きはあった」と語る。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 12月20日、Jリーグアウォーズが開催され、今季のMVPには川崎の中村憲剛が選出された。
 
 壇上で自分の名前が呼ばれると、中村は少しのけ反って驚いた表情を見せた。
 
「今年の成績で言うと、フロンターレはファーストもセカンドも獲っていない。チャンピオンシップでも準決勝で鹿島に負けました。そういう意味では、どうなのかな、というのはあって、そこで呼ばれたので、多少驚きはありました」
 
 たしかに、チームとしては結果を残せなかった。ただ、中村個人のパフォーマンスは多くの人から高く評価された。
 
「一緒にプレーした選手、監督のみなさんから、たくさんの票をいただいたと聞きました。本当にそれは嬉しいこと。MVPは獲りたいと思っても、簡単に獲れる賞ではありませんが、今年1年の頑張りをみなさんに評価されたということで、チームメイトやスタッフ、フロンターレに関わるすべてのみんな、家族に感謝したいです」
 
 36歳での受賞は、3年前の中村俊輔(横浜/当時35歳)を抜いて、史上最年長記録となった。記者会見で、長く現役を続ける秘訣を聞かれると、次のように応じた。
 
「僕自身、大柄でもないですし、身体能力も高くない。そういう自分が、小さい頃から自分と向き合って、自分にできることは何かを考え、コツコツとやってきました。その結果、自分なりのプレースタイルを見出して、Jリーグで揉まれて、日本代表にも呼んでもらえるようになり、それが自信になりました。そうしてどんどん成長できた」
 
 大事なのは、いかに"自分と向き合うこと"だ。
 
「年齢は重ねていくもので、そのなかでどれだけ、今の自分がアジャストできるかというところを、毎日毎日、自分と向き合って、日々の練習、もしくはケアに、すべてを費やしていく。それは自分としては普通のことですし、これからもまた、ちょっとずつアップデートしていかないといけない」

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