「未知の5分間」を経験し、鹿島はまた強くなる

2016年12月20日 清水英斗

印象的だったのは、52分に鹿島が2-1で逆転した後の数分間だ。

クラブワールドカップ決勝で、鹿島はレアル・マドリーと好勝負を演じた。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 2013-14シーズンのチャンピオンズリーグ決勝、マドリード・ダービーを思い出す試合だった。ボールを持つチームと、ボールを持たれるチーム。90分の試合はイーブンでも、延長戦に入ると、残った体力の差が大きくなる。当時レアル・マドリーと対戦したアトレティコ・マドリーは、1-1で堂々と90分を戦ったが、延長戦は力尽き、1-4で敗れた。
 
 そして、2016年クラブワールドカップ決勝。
 
 見事なハードワークで戦い抜き、90分を2-2で終えた鹿島アントラーズだが、さすがに延長では足が止まった。2-4で惜敗。戦いの舞台は異なるが、その姿は3年前のアトレティコ・マドリーに重なって見えた。ここまで競るとは思わなかった。本当に健闘したと思う。試合中は「すごいな鹿島」という気持ちばかりが、何度も沸いてきた。
 
 一方、冷静になって試合を振り返ると、印象的だったのは、52分に鹿島が2-1で逆転した後の数分間だ。
 
 レアル・マドリーはMFカゼミーロを最終ラインに下げて3バックに変形し、両サイドバックのマルセロとカルバハルを早いタイミングで、高い位置へ送り込むようになった。その効果が表れたのが、56分のシーンだ。
 
 カウンターからカルバハルが右サイドをかけ上がり、ヴァランからロングパス。鹿島は左サイドハーフの柴崎が下がってマークしたが、さらにカルバハルはベンゼマとのワンツーで突破。この技術、スピード、身体能力に長けたスペイン代表右サイドバックの飛び出しに、柴崎は一歩遅れを取り、スライディングでプレッシャーをかけたが、危険なグラウンダーのボールを折り返された。
 
 もっとも、鹿島も中央をしっかりと固めており、この折り返しは、難なく西がインターセプトしている。問題は、その後だ。
 
 西はボールをつなごうとしたが、他の選手が動いていない。西は周りを探した後、相手に寄せられ、いちばん近くにいる昌子の前にパスを出したが、昌子は反応せず。パスミスを回収され、レアルの二次攻撃になった。

次ページあの5分が勝負だった。凌いでいれば、どうなったかはわからない。

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