【コラム】「一発屋」と見なすのは時期尚早! ヴァーディーは「らしさ」を取り戻しつつある

2016年12月16日 山中忍

「努力不足」との批判に結果で応えたヴァーディー。

9月のリバプール戦から3か月もゴールから遠のいたヴァーディー。しかし、ラニエリ監督からの信望が厚いストライカーは、ここにきて本来のコンディションを取り戻しつつある。 (C) Getty Images

「ワン・ヒット・ワンダー」

 今シーズンのレスターには、この「一発屋」を意味する言葉が付きまとう。
 
 昨シーズンのプレミアリーグ優勝は、再現など考えられないからこそ「奇跡」と呼ばれた。チームの総合戦力、特にDF陣のクオリティーを考えれば、下位で苦しんでいる今シーズン前半戦は「低迷」ではなく単なる「現実」とも言える。
 
 同様の言葉が、エースのジェイミー・ヴァーディーにも当てはまるのではないかと言われてきた。昨シーズンは24ゴールを挙げて奇跡の優勝の立役者のひとりなったエースは、9月10日の4節リバプール戦(●1-4)を最後に3か月間もゴールから見放されたからだ。
 
 プレミアリーグ新記録となる11試合連続得点の最中だった1年前との落差は激しく、結果、識者の評価も厳酷化した。アラン・シアラーには「努力不足」、マイケル・オーウェンには「生来の点取り屋ではない」と言われ、その姿勢と資質まで疑われた。
 
 そこで当人が突きつけた回答が、15節のマンチェスター・シティ戦(○4-2)で決めたプロキャリア初のハットトリックだった。
 
 3得点ともペナルティーボックス内でのフィニッシュという点取り屋らしいゴールには国内各紙の報道も「復活」という言葉で称えた。大衆紙代表格の『サン』紙には、ヴァーディーを酷評した識者陣を揶揄したオウンゴールならぬ"オーウェンゴール"という皮肉交じりの見出しがついたほどだった。
 

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