シメオネがインテル新監督に? 中国人オーナーは巨額の契約解除金も払う構えだ

2016年12月12日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

サネッティと中国人オーナーは本気で招聘を考えている。

数年前からインテル行きが噂されるシメオネ。来夏はそれがついに実現するか? (C)Getty Images

 ステーファノ・ピオーリがインテルの新監督に途中就任してまだ1か月しか経っていないというのに、早くも彼の居心地を悪くするような情報が流れ始めている。
 
「ディエゴ・シメオネがインテルの監督に?」
 
 これは単なる問いかけではなく、今シーズンからジェノアに所属する長男ジオバニをはじめ、直接関係する何人かが口にした言葉が元になっている。現在はアトレティコ・マドリーを率いるディエゴ本人も「家族もいつか私がインテルの監督になることを知っている」と語ったというのだ。
 
 しかし、ニュースが流れた翌日にはもう否定のコメントが次々と飛び出した。現監督のピオーリもはっきりとこう語った。
 
「シメオネはアトレティコの面倒を見ていればいい。インテルのことは私が考える」
 
 正しい言葉だ。とはいえ、インテルの内部でも、アルゼンチン代表とインテルで同僚だったハビエル・サネッティ副会長、そしてとりわけオーナーの蘇寧グループが、プロジェクトを一から描き直すためにシメオネの招聘を本気で考えている。
 
 中国人オーナーは、アトレティコとの契約に設定されている5000万ユーロ(約60億円)の契約解除違約金を支払ってでも、来夏にチョロ(シメオネの愛称)をミラノに連れて来たいと考えているようだ。
 
 それだけではない。プロジェクトはシメオネだけに留まらないからだ。アトレティコの強化部門で数々の移籍ディールを成立させ、シメオネと深く結びついているイタリア人の強化担当者、アンドレア・ベルタも一緒に引き抜こうというのがインテルの構想だ。
 
 すべては考え方や意見、そして家族を含めた人間関係の問題。現役時代に1997年から2シーズンに渡ってインテルで戦ったシメオネは愛するミラノに戻ることができるし、かつてパルマやジェノアで働いたベルタにとっては文字通りイタリアというホームへの帰還となる。
 
 今夏にはジョゼ・モウリーニョを新監督に迎えたマンチェスター・ユナイテッドも招聘に動いていたほど有能なベルタを口説き落とせれば、現スポーツディレクターのピエロ・アウジリオはクラブを去ることになるだろう。
 
 指揮官にシメオネ、強化担当者にベルタを招聘――。この大きな人事が半年後に起こり、インテルがまたも"フルモデルチェンジ"されるというのは、十分にありえるシナリオだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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