C・ロナウドの「賞味期限」は? 最大の鍵はメンタル面だ

2016年12月14日 ティモシー・スモール

CR7は己の肉体の衰えと適応できているの?

鍛え上げたフィジカルを利したプレースタイルを最大の武器とするC・ロナウド。果たしてそのスタイルに限界は訪れるのだろうか? (C) Getty Images

 クリスチアーノ・ロナウドの"賞味期限"はいつまで続くか――。
 
 この問いに答えるのは簡単ではない。まずなによりも、何をもって「賞味期限」とするかを定めなければならないからだ。
 
 マスコミとマーケティングの世界で神格化された、別の惑星からやってきた超スーパークラックとしての「CR7」なのか。それとも、いま私たちが目にしている 31歳の、EURO2016で人々を落胆させ(優勝したとはいえ)、今シーズンもパッとしないプレーを続けている 「CR7」か。
 
 メンタル的な側面から見れば、彼は常に自らの限界を突き抜けて、その先を見ようとする男だった。最大のモチベーションが、リオネル・メッシとの永遠のライバル関係にあることは誰の目にも明らかだ。2011-12シーズンに、55試合で60ゴール(18 アシスト)という"馬鹿げた"数字を叩き出したのも、まさにその力によってだった。
 
 フィジカル的に見れば、常に破壊的な存在だった。爆発的なスピードとパワーで敵をぶっちぎり、あらゆるスキルを駆使してボールをゴールにねじ込んでいく。ドリブラーでも、ファンタジスタでも、ストライカーでもない。そのすべてをひとつの肉体のなかに押し込んだ、スーパーフットボーラーのプロトタイプのような存在――これが「CR7」の一般的なイメージだ。
 
 ただ、真に偉大なカンピオーネ(名手)であるために不可欠な資質は、それだけではない。年齢を重ねるにつれて重要性を増してくる別の資質がある。
 
 それは、自らの肉体の衰えと向き合い、それを受容する賢明さだ。己を知り、客観的かつ批判的に見つめ、その結果を認め、そしてピ ッチ上での振る舞いを変えていく。いわば自らをフットボーラーとして再構築する知性だ。
 
 それは口で言うほど簡単なことではない。しかしこれは、20年を超えるキャリアを通してトップレベルを保ち続けてきたフットボーラーたちすべてに共通する資質だ。
 
 となれば、私たちもこう問い掛けないわけにはいかない。はたして「CR7」は、自分の肉体の変化―つまり衰えだ―に、技術、戦術、そしてなによりメンタルの側面で正しく「適応」し、自らを再構築できるのだろうか?

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