バレンシアの凋落に元副会長が立ち上がる! しかし、そのプランは無謀?

2016年12月02日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

混乱が続くクラブの現状に危機感を募らせ買収を提案。

直近の6試合でわずか1勝と、名将プランデッリを新監督に迎えてもなお不振から脱却できずにいるバレンシア。状況は深刻だ。(C)REUTERS/AFLO

 開幕4連敗と最悪のスタートを切り、13節終了時点で16位。かつてないほどの不振に見舞われているのが、バレンシアだ。そしてその元凶が、この1年で3度も監督の首を挿げ替えるなど、横暴を繰り返してきたオーナーのピーター・リムだと、そんな声が絶えない。

 クラブの買収交渉がまとまった2014年の春頃から実権を握ったリムは(オーナへの正式就任は同年10月)、旧知の仲である大物代理人ジョルジュ・メンデスの顧客、ヌーノ・エスピリト・サントを監督に招聘。夏にはその新指揮官の下で、主力の半数近くを入れ替える大刷新を敢行した。

 するとこの改革は、14-15シーズンに早くも花開く。リーガ・エスパニョーラをバルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーに次ぐ4位でフィニッシュするのだ。と、そこまでは良かったが、リムが現場に介入するようになった翌15-16シーズンから、クラブは極度の混乱に見舞われる。

 開幕から中位をさまようと11月、リムは前シーズンの躍進の功労者であるヌーノに辞任を迫った末に契約を解除。さらに、監督未経験にもかかわらず独断で招聘に踏み切ったガリー・ネビルも、不振の責任をなすりつけるかのように4か月で解任と、強権を連発した。

 結局、チームは内部昇格したパコ・アジェスタランの下で一時的に復調したものの、過去25年で最悪の12位でシーズンを終えた。

 さらに今シーズンは状況がさらに悪化。開幕から低調なパフォーマンスに終始し、下位に低迷するのだ。すると、またしてもリムが強権を発動。5月に契約を更新したばかりのアジェスタランをあっさり更迭した。その後、ボロ暫定政権を経て、名将チェーザレ・プランデッリに再建を託したが、いまだ浮上の兆しすら見えていない。

 そうした現状に危機感を募らせ立ち上がったのが、かつてクラブの副会長を務めたミゲル・ソリオだ。リムが所有する株式を買い取ってクラブを買収し、バレンシアに平穏を取り戻すと訴え出たのだ。

 地元紙によれば、リムからクラブを奪還するのに必要な株式の買い取り資金は、2億~2億2000万ユーロ(約240億~260億円)。ソリオは本拠地メスタージャに新設されたクラブが保有するホテルや選手の所有権をリムに譲渡するなどして1億7000万ユーロ(約200億円)分に充て、残りを30~40年のローンで返済する予定だと語っている。

 これらはまだ計画段階の域を出ず、ソリオのプラン自体を無謀だと疑問視する声もある。しかしバレンシアはいま、待ったなしの状況に立たされている。クラブが威厳を取り戻すためには、何らかの荒療治は不可欠だろう。
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