桐光vs前橋育英の有力校対決は「プレミア昇格を決めて選手権へ」の想いがぶつかり合う激戦に

2016年11月29日 竹中玲央奈

前半は前橋育英が押し込むが、桐光も相手の背後を狙い続け押し返す。

桐光学園を主将として率いるタビナス・ジェファーソン。プレミア昇格への想いを力強く語った。写真:竹中玲央奈

 プリンスリーグ関東は15節終了時点で、1位の浦和レッズユースが頭ひとつ抜けるなか、プレミアリーグ参入戦に駒を進めることのできる3位以内に、最下位の甲府U-18以外が可能性を持つという、文字通りの大激戦となっていた。
 
 必然的に、どのカードもライバル同士の潰し合いとなり、1勝がチームの順位を大きく上げる可能性もある。そんななか、勝点24で3位につける桐光学園と勝点23で5位の前橋育英が激突。今節のプリンス関東で、唯一、冬の高校サッカー選手権に出場する者同士の戦いとなった。
 
「プレミア昇格を決めてから選手権に臨みたい」とは桐光学園の主将、タビナス・ジェファーソンの言葉だが、この思いは両チームにあったことは間違いない。ただ、順位を考えれば桐光学園としては、引き分けでも問題はなかった。プレミア参入のために勝利が義務付けられていたのは前橋育英のほうだっただろう。
 
 その立場の違いは、試合開始直後からピッチに反映される。開始直後こそ桐光学園が右サイドを崩してビッグチャンスを作るも、その後は前橋育英が前への推進力を発揮。両サイドバックが積極的に攻撃参加を仕掛け、桐光陣営へ攻め込む時間が続いた。そして、13分、10番・飯島陸のドリブル突破から中央でボールを受けた人見大地が右足で蹴り込み前橋育英が先制。前橋育英はその後もペースを緩めず、クロスやミドルシュートで追加点を狙った。
 
 しかし桐光学園もセレッソ大阪内定のGK茂木秀が牙城を築き、追加点を許さない。一方で攻撃面でも決してチャンスが無かった訳ではない。
 
「前に強い」(鈴木勝大監督)という評価の前橋育英ディフェンスラインの裏を突くため一本の縦パスを出してFWを走らせる形を狙うと同時に、両サイドバックの背後を突く攻撃を展開しようと試みる。
 
「ちょっとボールウォッチャーになってしまっていて、ポジショニングも悪かった」と語るのは前橋育英の左サイドバック・渡邊泰基だ。そして、その穴を狙ったことが奏功し、後半に桐光が得点へ結実させる。
 
 66分、途中出場の倉持快が右サイドを突破し上げたクロスに中央で田中雄大が合わせ同点にすると、勢いをそのままに82分、左サイドで鳥海芳樹が見事なトラップから対面の相手を置き去りにして中央へ。送り、これを西川公基が合わせて桐光学園が逆転に成功した。

次ページ勝ち切れなかった桐光は敗戦を喫したようなムードに……。

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