【選手権予選】宿敵市船との対決に敗れた流経大柏。最強の敗者が残した爪痕とさらに続く戦い

2016年11月20日 平野貴也

前半は明らかに流経大柏がペースを握ったが…。

流経大柏は1点ビハインドの前半31分に菊池(6番)が同点ゴールを挙げる。前半は流経大柏のペースで試合が進んだ。写真:平野貴也

 相手が強かったと言うべきだろう。敗者も十分に強かった。流経大柏の本田裕一郎監督は「良い試合になったと思ったんだけどね」と顔をしかめた。
 
 第95回全国高校サッカー選手権の千葉県大会決勝戦に臨んだ流経大柏は、夏の全国王者である市立船橋に1-2で敗れた。両チームの今季の対戦は5度目。なかでも、夏のインターハイでは県予選だけでなく、全国大会でも優勝を争った。流経大柏にとっての準優勝は、喜びよりも全国優勝を目の前で相手に成し遂げられた悔しさが上回るものだった。
 
 だからこそ、最後の一戦は負けられない――この試合にかけていた闘志は、プレーに表われていた。
 
 試合の立ち上がりは、明らかに流経大柏のペースだった。スピードと跳躍力のある古谷三国(3年)、パワーがあり空中戦を得意とする生方ジャラール勇(3年)の2トップを目がけてロングパスを飛ばし、中盤がすかさずこぼれ球に飛び込む攻撃は、かなりの迫力だった。
 
 4分に右DF河内渉真(3年)のミドルシュート、5分にMF関大和(3年)の直接FKと積極的にゴールを狙った。特に前半15分、左MF菊池泰智(2年)のシュートが無人のゴールに飛んだ場面は決定的だったが、市立船橋のMF金子大毅(3年)がカバー。流経大柏は、それでも二次攻撃を仕掛け、左からのクロスに古谷が飛び込んだが、GKに防がれた。19分にも河内が右サイドを突破してチャンスを作った。
 
 古谷と関は、インターハイの全国決勝を累積警告によって出場できなかった苦い経験を持っている。チームキャプテンの河内は、夏前にポジションを失い、本来は巻くべき腕章を関に譲ったままで悔しい思いをして来たが、最後の大舞台に戻って来た。それぞれの思いが込められていた。本田監督は「いろいろあったからさ。誰が出ても大丈夫だと思っていた」と振り返った。本田監督自身もインターハイは体調を考慮して遠征を避けて参加しておらず、ここで勝たせたいという思いは強かったに違いなかった。
 
 並の相手なら、前半のうちに粉砕できただろう。しかし、相手は市立船橋だ。猛攻を仕掛けられても揺るがず、焦らない。前半21分、得意のセットプレーで先制点を得たのは市立船橋だった。
 
 しかし、流経大柏は下を向かなかった。31分、DF関川郁万(1年)が自陣から飛ばしたFKのこぼれ球を菊池が左足で叩き込み、試合を振り出しに戻した。前半は1-1。両チームの対戦らしい、球際で激しく、簡単にタッチラインへ逃げない戦いは見応えがあった。
 
 次の1点でどちらが優位に立つかが大きく変わる。そこで再びさく裂したのは、市立船橋のセットプレーだった。市立船橋がFW太田貴也(3年)のヘッドで2-1と勝ち越しに成功する。
 

次ページ「もうひと仕事残っている」と本田監督。プレミアリーグ残留に向け最後の戦いへ。

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