史上初の「チャイニーズ・ミラノダービー」は見どころ満載! 長友と本田の出場は?

2016年11月19日 片野道郎

ひと足早く中国資本の傘下に入ったインテルだが内部が混乱…。

過去216回のミラノダービーでは、インテルが77勝64分け75敗でわずかにリードしている。新たな時代を迎えての初対峙において、喜びを味わうのはどちらか。写真は左がイカルディ、右がロカテッリ。 (C) Getty Images, Alberto LINGRIA

 11月20日(現地時間)に行なわれる今シーズン最初のミラノダービー。ミラン、インテルとも、このところはぱっとしないシーズンが続いてきたが、今回はピッチ上、ピッチ外ともに興味深い話題が満載で、久々に見どころの多い戦いになりそうだ。
 
 ピッチ外で最大の話題は、これが史上初めての「チャイニーズ・ミラノダービー」となることである。
 
 インテルが今年7月、南京に本拠を置き、中国スーパーリーグの江蘇蘇寧も保有する家電量販店「蘇寧グループ(張近東会長)」に買収されたことは周知の通りだ。
 
 一方、2年前から複数の候補と売却交渉を進めてきたミランも、大手電機メーカーの「TCLコーポレーション」や中国国営投資ファンドなどの共同投資によって設立された持ち株会社「シノ・ヨーロッパ・スポーツ」による買収が決まっている。
 
 年内には、発行済株式の99パーセントを譲渡する最終手続が完了する見通しと伝えられている。
 
 1990年代から2000年代にかけて、モラッティ家(インテル)、ベルルスコーニ家(ミラン)という地元ミラノの富豪ファミリーがオーナーの座に君臨し、チャンピオンズ・リーグをはじめ、様々なタイトルを勝ち取ってきた。
 
 そんなイタリア、そして欧州屈指の名門クラブが揃って中国資本の傘下に入るという現実は、カルチョの世界もまた、グローバル化の波から逃れることができないという大きな時代的変化の象徴として受け止められている。
 
 とはいえ、インテル、ミランともに新オーナーの経営ビジョンはいまだ不明確であり、クラブとしての新たなアイデンティティーを確立するには、まだ時間がかかりそうだ。
 
 欧州のクラブ事情に疎い蘇寧グループは、インテルを買収した後も、前オーナーのエリック・トヒルをクラブ会長の座に据え置いて運営を委ねることで、段階的に経営の実権を握っていこうというアプローチを取った。
 
 しかしその結果、指揮系統がジャカルタ(トヒル)、南京(蘇寧G)、ミラノ(現場のマネジメント)という3か所に分断されてしまい、迅速かつ的確な意思決定を下せない状況が続いた。
 
 プレシーズンのロベルト・マンチーニ解任とフランク・デブール招聘、そして10月末のデブール解任とその後の監督選びのもたつきは、クラブ内部の混乱を象徴する出来事だった。

次ページ新たな時代に突入するミランだが、「本流」からは歓迎されず…。

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