“我が家”での最後のマドリード・ダービー。シメオネが選ぶのは「ポゼッション」か「カウンター」か

2016年11月19日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「ポゼッションで上回っても意味がない」と豪語していたシメオネが

ビセンテ・カルデロンを使用するのは今シーズン限り。リーガでは最後となるダービーを勝利で飾ることができるか。(C)Getty Images

 9勝17分け22敗――。

 アトレティコのホームスタジアム、ビセンテ・カルデロン(以下カルデロン)がオープンしたのは、いまからちょうど半世紀前の1966年10月。この50年の間にカルデロンで開催された宿敵マドリーとのダービーマッチは、リーガ・エスパニョーラ限定で48試合ある(アトレティコが2部に属していた2年間は開催されず)。そして冒頭に挙げたのが、その48試合でアトレティコが残した成績だ。

 今シーズンは、そのカルデロンのラストシーズン。17-18シーズンからアトレティコの本拠地は、マドリードのバラハス国際空港から車で約10分という抜群の立地条件を誇る新スタジアム、<ラ・ペイネタ>へと移転することが決定している。

 つまり、現地時間11月19日午後8時45分(日本時間20日午前4時45分)にキックオフするマドリーとの大一番は、リーガに限れば、アトレティコの選手やファンにとっては"我が家"で行なわれる最後のダービーマッチとなる。

 注目は、この絶対に負けられない一戦に、アトレティコのディエゴ・シメオネ監督がどのようなサッカーを用意してくるか。

 マドリーの強力3トップ"BBC"を抑えるべく堅守速攻のスタイルを敷くのが、昨シーズンまでのシメオネ・アトレティコのセオリーだった。しかし今シーズン、彼らのサッカーは劇的な変化を遂げた。これまでサイドで起用されることが多かった司令塔タイプのコケを中盤のセンターに配し、高い位置でボールを保持しながら敵の守備網を丁寧に攻略するようになったのだ。

「ポゼッションで上回っても意味がない」。そう語っていたシメオネが、考えを改めるきっかけとなったのが、奇しくも昨シーズンのCL決勝、マドリー戦だった。受け身のサッカーでは真のチャンピオンになれない――。PK戦の末に敗れたあの一戦を経て、彼はその現実に気づいたのだ。

 ボールを奪った瞬間に両サイドが高めのポジションを取り、4-4-2から4-2-4気味にシフトするアトレティコの新システムは、荒削りながらも確実にその完成度を高めている。トニ・クロースとカゼミーロのケガによる欠場が決定的となったマドリーの中盤を攻略できれば、カルデロンでの"ラスト・ダービー"を制する可能性は高い。

 もっとも、シメオネに迷いが生じる可能性も否定はできない。というのも、アトレティコは9節のセビージャ戦(0-1)に続き、ベストメンバーで臨んだ11節のレアル・ソシエダ戦でもいいところなく0-2の完敗を喫しているのだ。

 カウンタースタイルを久々に引っ張り出してくるのか、ポゼッションスタイルを貫くのか。この重圧のかかるカルデロンでの最後のダービーで、シメオネがいかなる決断を下すか注目される。


☆マドリード・ダービー通算成績
(1928-29~2015-16/リーガ・エスパニョーラのみ)
アトレティコ・マドリー:39勝
レアル・マドリー:85勝
引き分け:34回
 
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