【日本代表】ハリルの進退は「世界で勝てるか」どうかで決めるべき。サウジ戦の結果だけで判断するのは危険だ

2016年11月17日 佐藤俊

チャンスを作り、運も味方につけ、流れ的には悪くない試合展開だった。

清武のPKで先制した日本は、2-1でサウジアラビア戦をものにした。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

[ロシアW杯アジア最終予選]日本 2-1 サウジアラビア/11月15日/埼玉

 なんかモヤモヤしている。
 たしかに大一番とも言えるサウジアラビアに2-1で勝った。勝点3を奪えたことは良かったが、なにか引っかかるものを感じた人も多かったのではないだろうか。
 
 サウジアラビア戦では、オマーン戦で結果を出した大迫勇也や若い久保裕也らフレッシュな選手を出してチームを活性化させた。前からプレッシングを掛け、パスサッカーで攻勢を強め、PKをもらい、80分に欲しかった2点目を奪った。多くのチャンスを作り、運も味方につけ、流れ的には悪くない試合展開だった。
 
 だがモヤモヤが晴れない。
 それは試合内容的なもの、たとえば試合の終わらせるところの詰めの甘さだったり、カウンターを受けた際の守備だったり、露見した課題についてもあるが、最大のモヤモヤはこのチ-ムが果たしてワールドカップで勝てるチ-ムになるのだろうかということだ。
 
 ブラジル・ワールドカップは個々のクオリティを上げ、チ-ムの完成度を高めて挑んだ大会だったが1勝もできず、グループリーグ最下位で敗退した。過去最強と言われたチームの惨敗に選手自身を含め、多くの人が大きな衝撃を受けた。だが、これで逆にロシア・ワールドカップに向けてのテーマが明確になった。
 
 ワールドカップで勝てる監督を選択し、世界で勝てるチーム作りを進めていく。
 ザッケローニの時もそうだったが、より世界を意識した目標になった。アギーレは残念ながら退任したが、その次に選ばれたのがハリルホジッチだった。ブラジル・ワールドカップでアルジェリアを指揮し、ベスト16に導いたその成功体験からスピードとフィジカルの強さを求める縦に速いサッカーを日本に持ち込んだ。
 
 しかし、アフリカ人が持つ肉体的な強さや質とは違う日本人がアルジェリアのようなサッカーを体現できるはずもなく、最初はチームがなかなか機能しなかった。アジア2次予選のシンガポール戦ではまさかの引き分けとなり、最終予選の初戦・UAE戦では逆転負けを食らった。

次ページロンドン五輪世代の共通意識が、スムーズなパスサッカーを機能させた。

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