「ミスターW杯」クローゼが現役引退。38歳の“第2の人生”は?

2016年11月02日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

通算71ゴールはドイツ代表の歴代最多。

“ミスター・ワールドカップ”が、ついに現役引退を表明。大舞台での勝負強さが、とにかく際立っていた。 (C)Getty Images

 ワールドカップの歴代最多得点記録(16)を保持する元ドイツ代表FWのレジェンド、ミロスラフ・クローゼが、ついにユニホームを脱ぐ――。11月1日、DFB(ドイツ・サッカー連盟)が現役引退を発表した。
 
 1999-00シーズンにカイザースラウテルンでプロキャリアをスタートしたクローゼは、ブレーメン、バイエルンとドイツの名門を渡り歩き、2011-12シーズンにラツィオに移籍する。自身初の国外挑戦となったセリエAでは5年間プレーし、契約満了となった16年夏に退団。以降はフリーの身となっていた。
 
 17年間で232ゴールを挙げたクラブでの活躍ぶりもさることながら、クローゼが最も輝いたのは、ドイツ代表のユニホームを纏ってプレーした時だった。
 
 世界の度肝を抜いたのは、24歳で臨んだ2002年の日韓ワールドカップだ。自身初のメジャートナメントでクローゼは、初戦のサウジアラビア戦でいきなりハットトリックを果たすと、続くアイルランド戦とカメルーン戦でもゴールをマーク。そのすべてがヘディングだった。
 
 自国開催となった4年後のドイツ大会では、不動のエースとして躍動した。叩き出したのは、2大会連続となる5得点。ドイツ代表を3位に導くとともに、自身は大会得点王に輝いた。
 
 さらに2010年の南アフリカ大会では限界説が囁かれるなかで4得点を挙げ、迎えた14年のブラジル大会で大偉業を成し遂げる。
 
 グループリーグ第2戦のガーナ戦でCKからのボールを泥臭く押し込み、ロナウド(ブラジル)の大会最多得点記録に並ぶと、7-1の大勝を収めた準決勝のブラジル戦でチームの2点目を挙げて、ついに記録を更新。ワールドカップの歴史に、その名を刻んだのである。
 
 同時にドイツは、24年ぶりに世界の頂点に返り咲いた。クローゼにとっては4大会目での悲願成就。36歳だった。
 
 136キャップを刻んだドイツ代表で挙げた71ゴールは、歴代最多。超絶的な技巧があったわけではない。だが、天賦のバネを持ち、なによりサッカーに対して真摯だった。
 
 ポストワークや足下のテクニック、シュート技術はデビュー当時と比べて見違えるほどに上達した。心身のコンディションは、つねに最良に保たれていた。すべては、努力の賜物だ。
 
 気になるのは、いわゆる"セカンドキャリア"だが、ヨアヒム・レーブ監督率いるドイツ代表にコーチとして入閣することがあわせて発表された。CFに人材を欠くドイツ代表にとって、彼ほど頼もしいコーチはいないだろう。
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