鬼軍曹コンテに歯向かいながらゴールを決め続ける…ジエゴ・コスタの特異性

2016年10月31日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

「そんなに気に喰わねぇんだったら、俺を代えろよ、オラ!」と開き直る。

10月30日のサウサンプトンでも豪快なミドルで1ゴール。D・コスタが開幕10試合で8得点と絶好調だ。(C)Getty Images

 まるで明日という日が来ないかのごとく、目を血走らせてゴールを決め続け、その勢いで敵のディフェンダーだけでなく自分の監督とまで罵り合う――。
 
 開幕から10試合で8ゴール。チェルシーのジエゴ・コスタは、キャリアハイの好調なスタートを切った。10月30日のサウサンプトン戦でも、55分に駄目押しゴールを叩き込んだ。つい2か月前には、古巣アトレティコ・マドリーへの帰還に傾いていたにもかかわらず……。
 
 D・コスタは本当に奇妙なストライカーである。それがどれほどのものかは、10月15日のチェルシー対レスター戦(プレミアリーグ8節)で世界中の人々が口をあんぐり開けて眺めるしかなかった通りだ。
 
 ピッチサイドで何度も何度も同じ指示を繰り返すアントニオ・コンテ監督に対して、「そんなに気に喰わねぇんだったら、俺を代えろよ、オラ!」と、ジェスチャーつきで開き直って見せたのだ。あの鬼軍曹コンテに悠然と歯向かったこの場面は、早くも伝説的な動画としてインターネット上で話題を呼んでいる。
 
 しかし、D・コスタとはそういう選手であり、それを受け入れるか、追い出すかの2つに1つだ。
 
 実際、ディエゴ・シメオネは彼を呼び戻すのにまったくやぶさかではなかった。今夏に移籍交渉中だったケビン・ガメイロ(当時セビージャ)に対して、「お前を欲しいとは思っているけど、俺のファーストチョイスはジエゴ・コスタだ」と言ったほどだ。ご存知の通り、D・コスタが獲れず、シメオネはガメイロで手を打った。
 
 D・コスタにとってアトレティコは良い思い出だが、彼にとっての現在はチェルシーだ。扱いにくい性格だが、その代わりゴールはしっかり決める。
 
 たとえ監督から何を言われようとも……。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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