「ペットボトル事件」でネイマールらを非難したリーガ会長、バルサの信頼を失って窮地に…

2016年10月31日 豊福晋

ネイマールやスアレスの振る舞いは明らかなシミュレーションで大袈裟だ。

バルサの歓喜の輪にペットボトルが投げ込まれると、無被害のはずのネイマールやスアレスが大袈裟に痛がる。明らかにシミュレーションであり、批判されて然るべきだ。(C)Getty Images

 自らが発した一言が、世間をこれほど騒がせることになるとは、発言の当事者ハビエル・テバスは思いもしなかったことだろう。
 
 10月27日には、バルセロナがLFP(スペイン・プロリーグ機構)会長のテバスをスポーツ仲介裁判所に訴える事態にまで発展している。
 
 事の発端は10月22日、メスタージャで開催されたリーガ・エスパニョーラ9節のバレンシア対バルセロナ戦における出来事だ。
 
 試合終了間際のロスタイム、バルサはリオネル・メッシのPKで勝ち越しに成功。相手サポーターが陣取るゴール裏の目の前でこれを喜んだが、そこにバレンシア・ファンから水の入ったペットボトルが投げ込まれ、選手たちの輪を直撃したのだ。
 
 テバスが苦言を呈したのは、ペットボトルが当たっていないにもかかわらずバルサの何人かの選手がピッチに倒れ込み、執拗にアピールしたことだった。
 
「まるでボーリングのピンが倒れるようだった。当たったのはペットボトルと水だったのだが……」
 
 テバスはそう発言し、客席から選手にペットボトルが投げ込まれたことよりも、むしろバルサの選手たちのシミュレーションを批判した。
 
「世界中で何百万人の少年達が見ているというのに、恥晒しもいいところだ。バルサの選手の態度は自らを貶めている」
 
 たしかに改めて映像を見てみると、明らかにバルサ選手のリアクションは大袈裟だ。ペットボトルがかすめたのはメッシの頭。メッシは珍しく激高して、相手サポーターに激しく詰め寄った。
 
 しかし、最後までピッチに転がって痛がったネイマールには、ペットボトルが当たっているようには見えない。同じく無被害だったはずのルイス・スアレスも、いつも通りのオーバーな演技で激しく痛がって見せた。どんな時も彼はブレない。
 
 現在、テバスの眼中にあるのは、「プレミアリーグをどうやって追い越すのか」の一点のみ。「レベルが高くクリーンなリーガ」というイメージを世界中に売りこみたい彼としては、このようなスポーツマンらしからぬコミカルな演技が広まるのはマイナスでしかない。
 
 ネイマールやスアレスの振る舞いは、明らかなシミュレーションだし、大袈裟だ。スポーツマンシップの観点から言えば批判されて然るべきだろう。

次ページ有能なテバスだが、今回の一件は言い過ぎだった。

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