磐田入団内定の昌平高・針谷が決意表明。「もっと上に行けると思います」

2016年10月24日 吉田太郎

加藤GMとの間で奇しくも一致した“将来像”とは

昌平高での入団会見に臨んだ天才肌のプレーメーカー、針谷。近未来の磐田を躍進へと導けるか。写真:吉田太郎

「僕も自分の期待として大島のような選手になってほしいと話したんですけど、彼も(目標とする選手が)大島と言っていたんでびっくりした。全然打ち合わせした訳ではないんだけど……」
 
 元日本代表DFで、京都などの監督を務めた経歴を持つジュビロ磐田の加藤久ゼネラルマネージャーは会見後、こう話して笑みを浮かべた。"彼"とは、来春の磐田への入団が決まった昌平高のMF針谷岳晃。10月24日に行なわれた入団内定会見でのひとコマだ。針谷本人とクラブサイドの申し合わせはいっさいなし。にもかかわらずその将来像は、川崎フロンターレの日本代表MF大島僚太で一致していたのである。
 
 針谷が一躍ブレイクしたのが、今年夏のインターハイだ。大会3連覇を目指した東福岡との2回戦、後半アディショナルタイムに決勝点となる直接CKを決め、その名を轟かせた。初出場の昌平をベスト4に導き、直後のSBS杯国際ユースサッカー大会では初めてU-19日本代表に選出。まさに世代屈指の名手だ。

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 166㌢、56㌔と非常に華奢で、昌平の藤島崇之監督も「中学生かなという体格で……」と微笑していたが、加藤GMが「プロの練習の中に入ってもボールを取られない。持っているスキルに関してはある意味、天下一品」と太鼓判を押す。磐田に練習参加した際も「普通だったらだいたい周りに気を遣って、遠慮してビビってしまったりするんだけど、彼はまったく慌てない」(加藤GM)と、堂々としたプレーを披露し、さらに評価を高めた。
 
 針谷は「いま、目標とする選手はフロンターレの大島僚太選手。プレーも被るところがあるので目標にしたい」と語る。168㌢、64㌔と小柄ながら、そのパスセンスと判断力の高さ、ドリブルスキルなどを武器に躍動する川崎の中軸。その大島を超えるような存在となり、磐田のユニフォームの胸に輝く星の数を増やせるか。
 
「(川崎に練習参加した際に)一緒にやってみてすごく巧いですし、試合を見ても全然取られないし、なおかつ得点にも絡むこともできるし、すごいと思います。見ているところとかは同じタイプ。そこは自信を持ってできますし、守備とかもうちょいやればもっと上に行けると思います」
 
 この気持ちの強さ、物怖じしないメンタルも高い評価を得ている。
 
 加藤GMは「大島のような選手になれると思います。ケツ周りが大きくなって、上半身がしっかりしてくれば」と分析する。昨年はともに現U-19日本代表のFW小川航基とCB大南拓磨を、そして今年も磐田は昨年度全国2冠の東福岡のMF藤川虎太朗、針谷とふたりの高校生を獲得し、4~5年後の中心選手候補に見据えている。
 
 針谷は小川を「プリンスリーグで対戦したことがあるんですけど、去年は偉大な人としか見ていなかった。その人と同じクラブにいることは光栄」と評し、同期入団となる藤川については「仲間であり、ライバルでもあると思うので切磋琢磨していきたい」と語った。
 
 同世代の逸材たちとともに、磐田にふたたび黄金時代をもたらせるか。天性の攻撃センスを持つ針谷は間違いなく、そのキーマンのひとりだ。
 
取材・文:吉田太郎
 
 
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