【大宮】横谷繁インタビュー|ボランチで新境地を切り開く大器の本格開花(後編)

2016年10月22日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「(鹿島戦は)僕が何をしたか分からない試合」

J1第2ステージ14節・鹿島戦で強烈なインパクトを残す2得点。だが本人は、「あれがなければ自分は何をしたか分からない試合」と低評価を下す。写真提供:大宮アルディージャ

 リーグ戦で第2ステージ7節・福岡戦から8試合負けなし(5勝3分)と、シーズン最終盤に入っても好調を維持する大宮。その強さを支えるのが、正確な右足と身体の強さを武器に、中盤の底で攻撃のタクトを振るう横谷繁だ。
 
 試合に出場できない日々を知り、G大阪への復帰を含めて4度の移籍を経験し、ポジションを変えながらも、真摯にサッカーへと取り組む男の源流とは? 右サイドハーフからボランチへと転向した際の心境とともに、新境地へと立ち向かう大器の思考を前編・後編に分けて紹介する。
 
――◆――◆――
 
――横谷選手と話していると、自己評価が低いように感じる時があります。自身に求めるものがかなり高い?
 
 自分でも、自己評価は低いんじゃないかなと思いますよ(苦笑)。ノーミスのパーフェクトな試合を常にしたい。ひとつでもミスがあったら、勝った試合でも満足はできませんからね。
 
 第2ステージ14節・鹿島戦では2ゴールしましたが、ボールを奪われたシーンばかりを何回も映像で見返してしまう。あのシーンであの選手を視界に捉えていれば、逆にトラップして交わせたとか、ワンタッチで叩けたとか。
 
 ずっと頭に残っているのは、自陣の左サイドで(大山)啓輔からボールを受けたところで金崎(夢生)選手にカットされて、最後は永木(亮太)選手に左足でロングシュートを打たれた場面。
 
 シオさん(塩田仁史)が弾いてくれたからCKで済みましたけど、「なんでボールを取られたんだ」という想いが、今でもずっとあります。
 
 映像を確認すれば、「あのシーンではこうしていれば良かった」というのが分かります。「あの瞬間のあのタイミングで、周囲をよく見ておくべきだった」と反省して、次に生かすことができる。
 
 ボールを奪われるシーンというのは、やっぱり何かしらの準備が遅いんですよ。それができていれば、食いついてきた相手選手を剥がせて、逆にチャンスにできる。そう考えていると、そういう場面ばかり残るんです。
 
――得点シーンではなく、ボールを奪われたシーンが鹿島戦のハイライトとして出てくる(編集部・注/インタビューは10月14日に実施)とは意外でした。
 
 正直、FKとミドルシュートでのふたつのゴールがなければ、僕が何をしたか分からない試合ですから。もしそのふたつがなくて、仮に僕のところから失点していれば最悪のゲームだった。
 
 そう思うと、まだまだ自分のプレーに改善の余地はあります。2ゴールを取っ払って考えた時に、あと1本、2本はスルーパスを出せなければいけなかった。
 
――得点以外で、自分がチームに何を与えられたかという部分。実は意外となかった?
 
 なかったですね。どの試合でも、その部分を考えています。ただ、プロとして一番大事なのことは結果です。そこをどう考えるのかが本当に難しい。1ゴールに対して評価するべきなのか、それ以外で90分通してできたことを評価するのか。

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