【緊急討論|後編】ハリルホジッチでアジア予選を突破できるのか?

2016年10月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

守備重視の戦い方は間違っていないと思うけど、クオリティが足りない。

ハリルホジッチ監督は、どう得点を取るのかを確立できていないのが問題だ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 UAEに敗れ、黒星スタートとなったロシアワールドカップ・アジア最終予選は、4試合を終えた現時点で2勝1分1敗の3位。ハリルジャパンは苦戦を強いられ、ワールドカップ出場権が与えられる2位以上を確保できていない。

 また、試合内容は上向く気配がなく、今後の戦いに明るい展望を描けない状況が続いている。果たして、「ハリルホジッチ監督でアジア予選を突破できるのか?」。編集部で緊急座談会を実施した。
 
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――日本はグループ3位です。初戦を落とした割には盛り返してきたのが現状ですが、それでも世間を覆う空気が重いのはなぜでしょう?
 
記者A やっぱりオーストラリア戦で、勝ちゲームをものにできなかった点にあると思う。前半だけ見れば勝てる雰囲気があったから。
 
――勝ち切れないのは、今の日本代表が乗り切れないポイントですね。
 
記者A 終盤にパワープレーで決勝点を挙げたイラク戦も、冷静に振り返れば大苦戦だからね。アジアカップの時はUAEやイラクを内容で圧倒していた。その国に内容でも僅差のゲームをやっている。だから、「UAEやイラクとのアウェーゲームで勝てるの?」と思ってしまうし、アウェーのサウジアラビア戦が予選の最終節にあるのも不安材料だよ。
  
――守備重視は選択肢のひとつですが、そこからどう点を取るのかが見えないのが、ハリルホジッチ監督の問題なのかもしれません。縦に速いサッカーと言い続けているのに、その手段を構築できていない。
 
記者C 本当に、そこが問題。世界に行ったらオーストラリア戦のような戦い方をすると思う。ただ、オーストラリア相手にあの程度なのに、世界で通用するのか。守ってカウンターの戦い方は間違っていないと思うけど、クオリティの問題。あんなに押し込まれた状態がずっと続いていたら、いつか耐えられなくなる。クオリティの部分では、やっぱり試合に出てない選手が多いのが問題かな。
 
記者B 本田に関しては、イラク戦はきついなと思ったけど、オーストラリア戦は帳尻合わせてきたなとは思ったね。でも、香川の印象は良くない。チームが良い時に力を発揮するのは誰でもできる。苦しい時こそ、なにができるかという状況で何もできなかった。そう考えると……。
 
記者A ただ、香川は被害者的な側面もあるよ。あの守備的な戦い方で香川に何かを求めるのは、相当きつい。オーストラリア戦の日本は、引いて受け止めてから、どうするか考えていた。それで手がなくて本田に蹴ってしまうあの状況では、香川のようなトップ下が輝くのは難しい。
 
記者C アジアのなかでどうやったら優位な立場で戦えるのかと言ったら、ポゼッションして相手をじわじわ追い込んでチャンスを多く作り続ける戦い方だったと思う。今回はそこをまるっきり排除しているから、選手が慣れていないのかなとも思う。

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