6試合で勝点1・得点2の最下位……期待されたハンブルクが躓いた理由

2016年10月14日 中野吉之伴

飛躍を誓ってオフに即戦力のタレントを次々に獲得したが…。

インゴルシュタットとの開幕戦(1-1)、2節レバークーゼン(1-3)ではいずれも先制したが守り切れず、以降、ライプツィヒ(0-4)、フライブルク(0-1)、バイエルン(0-1)、ヘルタ・ベルリン(0-2)に完封負けを続けた。写真は新加入のハリロビッチ。 (C) Getty Images

 2013-14、14-15シーズンと、2シーズン連続で入れ替え戦の末に何とか1部リーグ残留を果たしていたハンブルク。ブンデスリーガで唯一2部リーグに降格していないクラブとしての意地だけは見せた。
 
 だが、なかなか安定しない成績にファンが満足するはずもない。
 
 10位とまずまずの順位で終えた昨シーズン終了後、首脳陣は古豪復活へと大きな動きを見せた。
 
 クロアチアのメガタレントと評価されていたハリロビッチ(←バルセロナ)、単独で状況打破できるドリブル力を持つクロアチア代表のMF、コスティッチ(←シュツットガルト)、そしてリオ五輪で優勝したブラジル代表のD・サントス(←アトレティコMG)を次々に即戦力を獲得したのだ。
 
 今シーズンこそ――。
 
 ファンも久しぶりに大きな期待を持ちながら、シーズンインを待ち望んでいたことだろう。
 
 だが、蓋を開けると、いつものハンブルクだった。
 
 DFBカップ1回戦では3部リーグのツビッカウに勝利したが、ブンデスリーガではここまでの6試合で、勝点わずか1の最下位という惨憺たる有り様である……。
 
 クラブも、監督も、ファンも、そして選手も、一気に優勝争いにまで絡めるとは思っていなかっただろうが、まさかここまで負けが混むとは予想もしていなかったはずだ。
 
 特に痛かったのは、3節ライプツィヒ、4節フライブルクと、昇格組相手に連敗を喫してしまった点だろう。それも、結果だけではなく内容的にも、自分たちが何をすべきかというのがほとんど見られなかった。
 
 開幕時の監督、ブルーノ・ラッバディアは5節バイエルン戦後に解任されたが、SDのバイアースドルファーはその理由を、以下のように語った。
 
「強豪相手に守りを固めて善戦というのは昨シーズンもできていた。我々が手掛けなければならないのは、守備を固める相手にどのようにチャンスを作るかであり、その部分で発展が見られなかった」
 
 まさに、この攻撃力に関して、首脳陣の思惑と監督の手腕が噛み合わなかったことが、スタートダッシュ失敗の最大の要因かもしれない。
 
 ラッバディアは、情熱的なアプローチによる選手の心理マネジメントに長けた監督だ。歴任したレバークーゼンやシュツットガルトのように、実力はありながらも、走ったり、戦ったりすることに取り組み切れていないチームでは、彼から発散されるエネルギーが大きな刺激を与えてきた。
 
 そんな彼の存在があったからこそ、昨シーズン、ハンブルクは10位という順位で終えることもできたと言えよう。

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