【プレー分析|香川真司】UAE戦からプレー機会は4割減。背番号10が「ファーストディフェンダー」に成り下がる!?

2016年10月11日 サッカーダイジェスト編集部

守備的なチーム戦術の影響をもろに受け……。

トップ下に“復帰した”香川だったが、守備的な役割に忙殺された。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト特派)

[ロシアワールドカップ・アジア最終予選]オーストラリア 1-1 日本/10月11日/豪・メルボルン
 
 ホームのイラク戦で出番のなかった香川真司が、オーストラリア戦でスタメンに"復帰"。「アウェーで守備的な戦いになった」(本田圭佑)なかで、トップ下としての働きぶりはどうだったのか。
 
 ひと言で表わすなら、この日の香川は「ファーストディフェンダー」だった。
 
 守備時は本田と同じラインまで上がって2トップ気味になり、ボールホルダーへのプレスに奔走。さらに、インサイドハーフのアーロン・ムーイをケアし、オーストラリアの攻撃をスローダウンさせた。立ち上がりから飛ばしたゆえ、後半は運動量が落ちたが、それでもセカンドボールを拾おうとする姿が目に付いたのも、献身的に守備をこなしてスペースを埋めていた結果である。
 
 もっとも、本職の攻撃面に関しては、実力の半分も出し切れていなかったのではないか。試合を通してのプレー回数は27回(前半15回/後半12回)で、9月のUAE戦(44回:前半25回/後半19回)から「4割減」。プレーエリアもアタッキングサードが4回、ミドルサードが19回、ディフェンシブサードが4回と全体的に低く、良く見積もっても守備7:攻撃3の割合。チームの守備的な戦術の影響をもろに受けてしまった。
 
 チャンスもほとんどが本田と原口で作り出したもので、香川はマイル・ジェディナクを背負ってのプレーが多く、自らシュートを放つ場面はゼロ。「キーになる」と話していたカウンターにも効果的に絡めなかった。そのなかで、ポジティブな要素を見出すとすれば、中央に固執せず、サイドへ流れる形が多く見られたことか。
 
 香川は戦前、「幅と距離感をミックスさせながらボールを回せるか」を課題に挙げていた。これまで中央にステイする時間が長く、パスコースが限定されるシーンが多かった。しかし、オーストラリア戦では左サイドで原口や槙野智章と頻繁にパス交換。この2選手が、パスを出した相手・パスを受けた相手の上位になっているのも、左サイドを中心に、ある程度"幅"を使ってプレーできた成果と言っていいだろう。

次ページ「トップ下・香川」の復権には、まだまだ時間がかかりそうだ。

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