【ミラン番記者】「クラブで控え」本田圭佑の日本代表招集に疑問。イタリアではありえない!

2016年10月04日 マルコ・パソット

ミランでは少しだけ風向きが変わりつつある。

開幕から7試合連続ベンチで、ここ2戦連続で出番がない本田。ミランでは完全にバックアッパーだ。(C)Getty Images

 何かが変わると思われる時には、それが本当に現実になるのかを時間をかけて見守らなくてはいけない。
 
 しかしどうやら先週の練習中、何かが変わり始めたのは確かなようだ。監督のヴィンチェンツォ・モンテッラはいつもに比べて明らかに長い時間、本田圭佑をレギュラー組でプレーさせていた。
 
 しかし、ご存知の通りサッスオーロ戦(10月2日のセリエA7節)で本田はまたも出番なし。7試合で5度目の「90分間ベンチ」だから、はっきり言ってもはやニュースにもならない。
 
 とはいえ、「溺れる者は藁をも掴む」という格言の通り、ほんの小さな出来事にでも希望を見出し、モチベーションを保ち続けなければ、光は絶対にやってこない。
 
 ミラネッロ(ミランの練習場)では週の中ほどでのトレーニングで、本田とルイス・アドリアーノがレギュラー組のビブスをつけてプレーしている姿が度々目撃された。モンテッラの頭の中で、何かが変わりつつある証拠だろう。
 
 たしかに、開幕から両ウイングのレギュラーを担ってきたエムバイ・ニアングとスソには、明らかに疲れが見え始めている。持ち前の俊敏なプレーを見せる頻度が2人とも減ってきたのは、そのためだ。
 
 そして、今回のサッスオーロ戦ではまず、ルイス・アドリアーノに左ウイングで出番が回ってきた。しかし低調な出来に終始し、ハーフタイムにニアングと代えられてしまった。
 
 ちなみに、そのニアングはスタメン落ちに発奮したのか、ドリブルでPKを奪取するなど、4-3の乱打戦を制すうえで決定的な存在となった。
 
 だからもしこの次、モンテッラがサイドアタッカーを変えるとしたら、チャンスは本田に巡ってくるだろう。それがいつになるかは分からないが、とにかく風向きが多少変わってきたのは確かだ。サッスオーロ戦の前日会見でもモンテッラは、こうコメントしていた。
 
「本田はスソとポジションを争っているが、これまで私はスソを使っている。しかし、本田が左サイドにうまくマッチすれば、新たな可能性が増える。今はそれを試しているところだ」
 
 この発言は本田によって、良いニュースにも悪いニュースにもなりうる。ポジティブな点は、モンテッラが本田にプレーするスペースを与えようとしているということ。ネガティブな部分は、そのためには逆サイドでのプレーも受け入れなければいけないということだ。
 
「今のところスソは右ウイングの事実上アンタッチャブルな存在」だと、モンテッラははっきりと認めている。だから、もし試合に出たいならば、本田は左ウイングへのコンバートを視野に入れなければいけない。
 
 しかし、彼のようにテクニックはあるがスピードに欠けるレフティーにとっては、カットインすればゴール方向に左足が向いてプレーしやすい右サイドのほうが適しているのは明らか。とにかく今は、事の成り行きを見守るとしよう。

次ページ日本以外の国だったら、例えばイタリアだったらありえない状況だ。

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