【湘南】奇跡の残留へ――曺監督の明確になった「僕の仕事」。代表初選出の永木にも言及。

2016年10月02日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

柏戦で選手が見せた気迫溢れるプレーに触発されるように、曺監督もモチベーションを高めた。

2012年から湘南のトップチームの監督を務める曺監督は、何度も昇格と降格を経験。チームを奇跡の残留へ導けるか。写真:徳原隆元

[J1第2ステージ14節]湘南0-0柏/10月1日/BMWス
 
 J1リーグで残留争いの真っ只中にいる湘南が、第2ステージ・14節の柏戦で手痛いドローを喫した。幸いにも、甲府が横浜に敗れたことで、今節での降格は免れたが、次節は引き分けでも降格が決定する、後がない状況だ。

【湘南 0-0 柏 PHOTO】ともに決め手を欠き残留、優勝が遠のくドロー…
 
 勝点3を獲得できず残留が遠のく結果だが、激しく戦った試合後のチームには、意外にも笑顔が溢れ、和やかな雰囲気が漂っていた。
 
 それは、良い意味で開き直っているようだった。残留するために残された道は、残り3試合すべてに勝つしかない――。それを改めて胸に刻むように、笑顔でミックスゾーンに現れた選手たちは、「残り3試合で9ポイントを取る」と口を揃えた。
 
 曺貴裁監督も「残留の可能性は少ないですけど、残せて終われたということを、前向きに捉えたい」と下を向くことはない。
 
 すでに指揮官の視線は次の大宮戦に向いており、「ひとつのことに向かってやっていく魂やスピリットは、まだ死んでないなと思った。試合を見ながら、自分でこのチームをこの中断期間のなかで、微力ですけど、もっと逞しくしなきゃいけない」と、柏戦で選手が見せた気迫溢れるプレーに触発されるように、自身もモチベーションを高めた。
 
「ここからルヴァンカップとか代表の試合で、すでに敗退したチームはお休みになりますけど、この休みをこたつ入っておまんじゅう食べて、寝て過ごすわけにはいかない。我々は自分たちの信じる道をしっかり進んで、次のリーグ戦の大宮戦に向かっていきたいと思います」
 
 そう意気込んだ曺監督は、自身の役割を明確にする。
 
「この3週間でもっともっとサッカーを好きにさせて、これがフットボールなんだという欲を彼ら(選手たち)に持たせて、『もっとやれるんだ、本気で勝点9ポイント取りに行くんだ』という気持ちにさせることが僕の仕事だと思います」

次ページチームの雰囲気や監督の真摯な姿勢は、奇跡の残留を見てみたいと思わせるものだった。

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