ラスト4試合で監督を代えた新潟。この1週間で何が変わった?

2016年09月30日 大中祐二

終盤の正念場に差し掛かったところで、レギュラーCBが次いで負傷離脱。

残り4試合で監督交代に踏み切った新潟。この判断は吉とでるか凶と出るか。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 第2ステージ13節、ホームで鹿島に良いところなく0-2で敗れた新潟は、今季17敗目を喫した。4連敗は2度目で年間15位、16位・名古屋との差はついに1まで狭まった。
 
 この緊急事態に鹿島戦翌日、クラブの田村貢社長と吉田達磨監督が会談。その結果、クラブにとって2012年以来、2度目となるシーズン途中の監督交代となった。事実上の解任で、今季から指揮を執る吉田監督とともに、北嶋秀朗コーチ、安田好隆コーチの退任も合わせて発表された。
 
 このクラブの決断を選手たちも重く受け止めている。
 
「こうなったのは達磨さんだけのせいではない。自分たちが監督の求めるサッカーに応えきれず、申し訳ない気持ちでいっぱい。もっと達磨さんを勝たせて、良いシーズンにしたかった」(鈴木武蔵)
 
「今季はずっと結果が出ない状況で、チームに変化が必要だということでこの決断になったと思う。そこまで行ってしまったことが悔しい」(成岡翔)
 
 昨季、柏を率いた吉田前監督のもと、チームは今季ポゼッション重視の戦いに大きく舵を切った。それにともなって、大きく変化したのが守備だ。前からプレッシャーを掛け、高い位置でボールを奪って速さを活かす従来の良さを残しつつ、プレスをはがされた際に素早く帰陣し、組織をオーガナイズする守備の構築が進められた。
 
 だがシーズン終盤の正念場に差し掛かったところで、大野和成、舞行龍ジェームズというレギュラーCBが次いで負傷離脱。代わりに期限付き移籍から復帰したJ1での経験が浅い増田繁人、西村竜馬を起用し、守備時には5バックにシフトする急造3バックで乗り切ろうとしたものの、オーガナイズの歯車が再び噛み合うことはなかった。
 
 なにより、攻撃のスイッチになっていた従来のボールを奪いに行く出足が、最後は完全に鈍ってしまっていた。
 
 シーズン残り4試合という土壇場で、チームの指揮権を託されたのが片渕浩一郎コーチだ。体制刷新ではなく、内部昇格による軌道修正。クラブが意図する状況打破の道筋を読み取ることができるだろう。

次ページ片渕新監督が強調したのは、「新潟らしいアグレッシブさ」。

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