【岩本輝雄のオタクも納得!】フロンターレ惨敗は必然の結果。レイソルの戦略は完璧だった

2016年08月29日 岩本輝雄

功を奏したCB→2ボランチのパスコース遮断。

相手の執拗なマークに遭い、良い形でパスを受けられなかった大島(10番)。大久保や中村へ思うように配球できず、フロンターレの攻撃は機能不全に陥った。(C)SOCCER DIGEST

 J1第2ステージ10節の川崎フロンターレ対柏レイソルの一戦は、見応えのあるゲームだったね。年間勝点1位のフロンターレが、まさかの大量失点で敗戦。レイソルの完勝だった。
 
 僕は以前から、フロンターレが優勝するための条件として、「セットプレーの守備」が鍵になると言ってきたけど、まさにその"悪癖"を露呈していきなりの失点。その1分後にもミス絡みで右サイドから崩されて、あっさりと追加点を奪われてしまった。
 
 2点をリードしてペースを掴んだレイソルの前に、前半のフロンターレはまるでなにもできていなかった。その理由は、レイソルの戦略が完璧にハマったから。
 
 フロンターレの"肝"は、大島とエドゥアルド・ネットの2ボランチ。そこが起点となり、CB2枚を含めた4人で上手く回しながらリズムを作っていく。そして2ボランチが前を向いた時に、憲剛や大久保に預けて、そこに両サイドが絡みながら攻撃を形成していく。
 
 レイソルが最大の注意を払っていたのは、ボランチの大島だった。トップ下の中川は、高い位置から奪おうとするけど、相手のCBまでは行かず、大島にパスを通させないようなポジショニングを徹底していた。
 
 相手のCB→2ボランチのパスルートを遮断する。CBがボールを持っていても、そこは自由にやらせておく。無理に取りに行くことで、大島やネットを自由にさせるのは危険だという判断があったのだと思う。
 
 こうしてフロンターレの中枢を潰して、相手のパスワークを機能不全に陥らせる。それでも、ボールを回されることがあったけど、全体をコンパクトに保ちながら、縦に入れられた時は間髪入れずにガッと奪いに行く。レイソルはたしかに2失点はしたけど、守備に関してはほぼ狙い通りだったはずだ。
 
 フロンターレは大島が消されると、それより前になかなかボールが運ぶことができず、攻撃はほとんど機能していなかった。特に大久保は、前半はほとんどボールに触ることができていなかったね。
 
 ひとつの打開策としては、CBの井川や谷口がドリブルでボールを運べば良かったと思う。自分たちが前に出て行くことで、大島をマークしている中川を釣り出すことができたかもしれないけど、彼らはフリーなのに、ただ後ろで構えているだけ。レイソルからすれば、まったく怖くなかったんじゃないかな。

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