ドイツへレンタル移籍した浅野はアーセナルに戻って来られるか!?

2016年08月29日 松澤浩三

欧州の2部リーグでワンクッション置くことは逆に好都合かも。

次にこのユニホーム姿を見られるのは、いつになるだろうか。 (C) Getty Images

 8月26日、アーセナルの広報チームからメールが届いた。今夏に同クラブへ加入した浅野拓磨の「ドイツ2部リーグのシュツットガルトへのレンタル移籍が決定した」という内容だった。
 
 その前週、20日に行なわれたプレミアリーグ第2節、レスター対アーセナル戦後の記者会見で筆者が、アーセン・ヴェンゲル監督に浅野の置かれている状況について質問すると、指揮官は「就労ビザが下りなかった」と残念そうな表情で答え、こう続けた。
 
「浅野は、どこか他のクラブでプレーすることになる。フランスかドイツでプレーしてほしいと考えている。彼の能力の高さを信じているし、彼に適したクラブへ送れるようにしっかりと面倒を見る」
 
 この発言は日英の各媒体で報道され、その後の話題は、浅野が「どこのチームに行くのか」に集中した。
 
 21歳の海外リーグ初挑戦とはいえ、プレミアリーグの強豪からの期限付き移籍である。武者修行に出すのであれば、それなりのクラブでなくては意味がない。
 
 そのため、ブンデスリーガ1部のフランクフルトやアウクスブルクが予想されたが、最終的には昨シーズン、ブンデス2部に降格したシュツットガルトで落ち着いた。
 
 2部とはいえ、シュツットガルトは1部リーグを5回制覇している名門である。過去には岡崎慎司(現レスター)や酒井高徳(現ハンブルク)が在籍し、さらに今夏には、2011年からブンデスリーガに参戦している細貝萌を獲得した"日本人慣れ"しているクラブだ。
 
 海外1年目の浅野が、いきなりプレミアリーグのトップ4に放り込まれるよりも、ワンクッション置くことは、逆に好都合かもしれない。また2部リーグということで、プレミアやブンデスリーガ1部より競争力が落ちる反面、出場機会が与えられる可能性は高い。
 
 さらに、イングランドに通ずるドイツ特有の激しい当たり、そして欧州での生活環境も含めて、吸収すべきものはたくさんあるはずだ。
 
 それは本人も理解しているようで、入団後のクラブ公式サイトでは、「多くの日本人が、シュツットガルトを含めたブンデスリーガで経験を得、成長してきた。細貝選手ともすでに長時間、話をした。自分の実力を存分に発揮して、クラブに貢献したい」と意気込みを語っている。

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