【名古屋】新監督就任3日で明らかな変化。復帰の闘莉王には絶大なる信頼の声

2016年08月26日 今井雄一朗

3日連続のフォーメーション練習、最終ラインへの集中講義で戦術を明確化。

26日に来日し、早くもトレーニングを開始した闘莉王。再び名古屋のユニホームに袖を通すのは、代表戦によるインターバル明けとなるか。(C) SOCCER DIGEST

 合理的思考のもとに、大胆に攻める――。ジュロヴスキー監督の元で残留へ向け大きく舵を切った名古屋は、勝つための攻撃を仕掛けるべく、急ピッチでチームの再構築を図っている。
 
 2011年から13年のストイコビッチ体制下で見覚えのある人も多いであろう4-3-3の布陣をベースに、新指揮官が目指すのはより効率的で実効的なポゼッションサッカーへの転身だ。その指導力は就任わずか3日間で目に見えて発揮されてきている。
 
 土壇場での監督交代に「私のモチベーションは上がる一方です」と笑顔を浮かべる新指揮官は手始めに、「選手には自信を与えていきたい」と語った。就任早々、まず取り掛かったのが、ポゼッションやパス回しの原則を明確に示し、そのためのポジショニングを徹底することだ。
 
 火、水、木曜と続けて行なったフォーメーション練習では、相手守備に合わせたボール回しの方法を説明し、状況に応じたケーススタディをチーム全体に浸透させていった。その基軸に据えられているのは数的優位を作ってボールを回すというやり方であり、これはホーム浦和戦でもその片鱗がすでに見られている。
 
 もちろん、ボール回しに終始しないための仕掛けも各ポジションの動きに用意されており、何がなんでもポゼッションするという固執した考えはそこにはない。むしろ「こうすればボールは回せる、ここにボールの逃げ道は作れる」という明確な判断基準は選手たちから不安を取り除き、「こうすれば大丈夫なんだ」という自信に変換されつつある。
 
 もちろん、そもそもが"守備構築コーチ"のような形で招聘された人物だけに、就任3日目にはディフェンスラインに集中講義を施し、バイタルエリアからゴール前での組織としての対応を事細かにレクチャーしてもいる。こうした戦術面の明確化による自信の回復が、ジュロヴスキー監督就任によって期待された最初の変化だ。
 
 FC東京戦が終わればリーグ次節までは2週間のインターバルがある。ここをさながらトレーニングキャンプのごとく使うことで、戦術理解度は一気に深まるに違いない。9月3日の天皇杯2回戦はFC東京戦から得た課題を修正し、チーム作りの進捗を計るには格好の機会だ。その頃には、心強い援軍もチームにすっかり馴染んでいることだろう。
 
 そう、田中マルクス闘莉王である。
 

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