ゲッツェは「新しい自分」を見つけ出せるのか?

2016年08月18日 中野吉之伴

バイエルン時代は一部のファンや識者から辛辣な批判を浴びる。

3年ぶりにドルトムントへ復帰したゲッツェ。欝々としたバイエルン時代を払拭できるか?(C)Getty Images

 マリオ・ゲッツェはもう、「終わった選手」なのだろうか?
 
 早くから「ドイツの至宝」と極めて高く評価され、ドルトムントでは弱冠17歳5か月の若さでトップチーム・デビュー。一瞬の閃きとそれを具現化する類稀な技術と俊敏性を武器に、2010-11シーズンからレギュラーとしてブンデスリーガ連覇に貢献すると、13年夏には当時のドイツ人選手最高額の移籍金3700万ユーロ(現在のレートで約44億4000万円)でバイエルンに引き抜かれた。
 
 すべてが順風満帆で、華々しく出世街道を突き進むゲッツェ。しかし、バイエルンでの3年間は、当初の期待とは大きく異なるものとなった。
 
 度重なる怪我という不運に加えて、同じタイミングでバイエルンにやってきたジョゼップ・グアルディオラ監督が求める動きを、最後まで消化できなかったのだ。
 
 コンスタントに出場機会を得られないゲッツェは、一部のファンや識者から辛辣な批判を浴びせられることも少なくなかった。
 
 もちろん、ゲッツェが状況を変える努力を怠っていたわけではない。それはグアルディオラも公に認めている。7月20日、バイエルンとの強化試合を戦うためにマンチェスター・シティを率いてアリアンツ・アレーナに戻ったグアルディオラは、記者会見でゲッツェについて次のように述懐した。
 
「プレーするに値する選手だったのは確かだ。しかし、当時のチームには7人のアタッカーがいた。この仕事では、時にそうしたことも起こりうる。それでもマリオは、いつでもプロフェッショナルに振る舞ってくれた。機嫌を損ね、チームにとってマイナスな存在になる選手もいるが、マリオに限ってそんなことは全くなかった。(バイエルンでの3年間は)私にとっても、マリオにとっても簡単ではなかった。でも今は、彼に明るい未来が待っていることを祈っている」

次ページグアルディオラのスタイルを消化しようとするあまりに…。

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