【ポジション別検証】GL敗退を余儀なくされたリオ五輪で日本に突きつけられた課題とは?

2016年08月14日 小田智史(サッカーダイジェスト)

FW――欲しかった勝負強さ。なによりゴールを奪える選手が求められる。

今大会2ゴールを挙げた浅野だが、勝負どころで物足りなさが残ったのも事実。本人もフィニッシュの精度を課題に挙げた。写真:JMPA/小倉直樹

「メダル獲得」を目標に掲げていたリオ五輪は、1勝1分1敗でグループリーグ敗退に終わった。手倉森監督が満を持して送り込んだ精鋭18人の出来は――。各ポジションごとにパフォーマンスを総括する。
 
――◆――◆――
【FW
――登録選手――
興梠慎三(オーバーエイジ)/鈴木武蔵/浅野拓磨

 
 クラブ事情で招集を断念したU-23世代のエース久保裕也の代わりに、鈴木武蔵をバックアップメンバーから繰り上げ。チーム総得点7点のうち、3人で半分以上の4点を叩き出した。もっとも、その内訳に目を向けると、興梠の1点はPK、鈴木のゴールも試合の大勢が決まったなかでのもので、浅野の2得点にしても勝利に導く一撃ではなかった。
 
 興梠はポストワークでチームに幅を持たせた一方で、思うように縦パスが入ってこない時間帯が長く、前線で孤立するシーンが散見。「自分のもらい方が悪かった」(興梠)のも一因だろうが、最終ラインや中盤のボール回しでミスが多かったのが響いた。
 
 浅野はスピードと裏への抜け出しのコンビネーションでナイジェリア戦、コロンビア戦と得点を挙げた。しかし、その一方で、コロンビア戦では得点シーン以外に3度の決定機を外している。どれか一本でも決めていれば……と本人が悔やんだように、やはりフィニッシュ精度は世界レベルにはまだまだ届かない。
 
「裏への抜け出しは僕の特長ですけど、世界で通用するためには、抜け出しだけじゃなくて、最後フィニッシュまで行けることが大事だと思います。落ち着いて足に当てられるか当てられないかの0コンマ何秒のところの勝負で、自分は慌ててしまって、良い状態で足に当てられなかった。そこはもう自分の力不足かなと」(浅野)
 
 鈴木も攻撃を活性化する動きをしたとはいえ、久保と比較してしまうとパンチ力不足は否めない。「勝負どころで結果を出せなかったのは自分たちの弱いところ」(鈴木)なのだろう。対戦したナイジェリアの長身FWサディク、コロンビアのテオフィロ・グティエレスらのように、個で打開しゴールを奪える選手が今後は求められる。

次ページMF――大島が唯一株を上げたボランチ陣。2列目はFW同様、フィニッシュ精度に課題残す。

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