「海外に来て一喜一憂するのは良くない」オランダで評価急上昇の日本代表CBが漂わせる“選手として人としての品格”。「見られ方が変わりました」【現地発】

2025年10月25日 中田徹

「失点しないのが当たり前。ヘントの時とは違う刺激です」

新加入ながら瞬く間にフェイエノールトの欠かせない戦力となった渡辺。充実のパフォーマンスを続ける。(C)Getty Images

 日本代表DF渡辺剛(フェイエノールト)は10月の国際マッチウィーク明け初戦となるヘラクレス戦(オランダリーグ)を負傷で休んだものの、23日のパナシナイコス戦(EL)の65分からクローザーとしてピッチに入り、3-1の勝利に貢献した。

「センターバックが試合の途中から難しいですが、うまく入れたと思います」

 アディショナルタイムを含めて30分間プレーしたことで、3日後に予定されるPSVアイントホーフェンとの首位攻防戦で先発する見通しが立った。

 エースストライカーの上田綺世は9試合11ゴールで得点王争いを独走するうえ、日本がブラジル相手に金星を挙げた試合でゴールを決めたこともあり、今、オランダで話題の人だ。しかしフェイエノールトは9節を終えた時点で失点数が6という、オランダリーグ屈指の強固な守備を誇るチームでもある。渡辺とアネル・アフメドホジッチのCBコンビは昨夏の補強の大ヒットだ。フェネルバフチェのジョセ・モウリーニョ監督(当時)はCL予選3回戦第1レグで、フェイエノールトに敗れたあと、こう言って唸っていた。

「フェイエノールトは素晴らしいチームだった。彼らのスカウトは無名の選手を探してくる。"日本人の選手"は私も聞いたことがなかった」

 結局、フェイエノールトはホームでの2-1の勝利を守り切れず、アウェーで2-5と大敗したことでELを戦うことになった。それでも第1レグで名将を唸らせた渡辺は敵地で2ゴールを決めるなど獅子奮迅の働き。その後のリーグ戦での安定ぶりは専門誌「フットボール・インターナショナル」の採点ランキングの1位ということで証明されている(上田は3位)
 
「綺世も自分も、オランダ・ビッグクラブのフェイエノールトでしっかり活躍できている。日本人選手のレベルが上がり、オランダの他チームでも日本人が活躍しています。自分自身の見られ方が変わり、求められていることが増えているのもそう(=日本人選手レベル向上)。(コルトレイク、ヘントでの)これまではチャレンジャーといった立場でしたが、今は『失点しないのが当たり前』という見られ方になってきました。それがビッグクラブでプレーするということ。ヘントの時とは違う刺激です」

 堅守のフェイエノールトだが、対戦相手によっては「フェイエノールト攻略のレシピ」のようなものを見つけている。サイドからのカットイン。前線に楔を入れてからMFが遠くからシュートを打つ――。フェイエノールトのCB陣を迂回する、そんな攻撃だ。

「そうですね。オランダリーグでもCBのところを突かれてやられるシーンはほとんどありません。AZ戦(3-3の引き分け)では左右のサイドバックに2点決められました。自分がコーチングして防げるのか、チームとして防がないといけないのか。そこは難しいところですよね。まずはチームとして組織して守るということ、そして自分のところでやられないことが大事だと思います」

次ページ「腐ることなく互いを高める関係は、代表にとってもチームにとっても大事」

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