シュートの雨嵐を防ぎ続ける覚悟。ブラジル戦で「とにかくゼロにこだわり続ける」鈴木彩艶が最後の砦となり、新たな歴史を切り開きたい【日本代表】

2025年10月14日 元川悦子

早い時間帯の失点は厳禁だ

強力なアタッカー陣を擁するブラジルを相手に、鈴木彩はクリーンシートを達成できるか。写真:塚本侃太(サッカーダイジェスト写真部)

 2026年北中米ワールドカップで躍進を目ざす日本代表。彼らにとって10月14日に東京スタジアム(味スタ)で対戦する"王国"ブラジルは、いつか必ず乗り越えないといけない壁である。

「(10日の韓国戦を見て)シンプルにブラジルは強いなと。世界トップトップの力があるし、それだけのクオリティを持った集団だと思います。我々もリスペクトしながら、同じ目線で挑んでいきたい」と森保一監督は前日会見で話していた。

 一方、その前に会見したブラジルのカルロ・アンチェロッティ監督とブルーノ・ギマラインスは余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)。ブラジルメディアの大半が森保監督の会見に参加しないなど、"格下扱い"は紛れもない事実だ。そんな相手に衝撃を与えるような試合展開に持ち込むためにも、日本としては早い時間帯の失点は厳禁である。

「しっかりとゴールにカギをかけて、ゼロの時間をできるだけ長くする。そこが大事かなと思います」と、1年ぶりの代表戦スタメンが予想される守備陣のリーダー格・谷口彰悟(シント=トロイデン)も強調。チーム全体として、行くところと引くところのメリハリをしっかりつけながら、強固な守備組織を構築することが、対ブラジル初勝利への近道だ。
 
 そこでキーマンになるのが、最後尾に位置する鈴木彩艶(パルマ)。23歳ながらセリエAで活躍する絶対的GKにとって、今回のブラジルはこれまで対峙した相手の中で最大の難敵ではないだろうか。

「韓国戦を見て、先制点(B・ギマラインスのスルーパスからエステバンが得点)は本当にスピード感といい、タイミングといい、テクニックといい、すべてが揃っていると思いました。

(後半には)ビルドアップのところからブラジルが奪ってショートカウンターみたいな得点の形もあったと思いますけど、自分たちのゴールに近いところでボールを失って失点するのは本当にもったいない。そこは避けながらも、つなぐところとロングボールで打開するところをうまく使い分けること。それがカギになると思います」と若き守護神は冷静に言う。

 ブラジルにどれだけ攻め込まれようとも、鈴木彩が最後の砦となってシュートを阻止してくれれば、日本は無失点で乗り切れて、白星の確率も上がるはず。実際、本人も所属するパルマでは「普段からシュートがガンガン飛んでくる」という。「そこの準備はできている。自分としてはプレーする機会が増えるので、より自分の強みを活かせればいいと思います」とも前向きに発言。シュートの雨嵐を防ぎ続ける覚悟だ。
 

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