5連敗で忍び寄るJ2降格の危機。それでも湘南が浦和戦で確かに掴んだ3つのポジティブ要素とは?

2016年08月08日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

【収穫その一】長谷川アーリアジャスールが「左シャドー」で持ち味を発揮し、サイド攻撃を活性化させる。

柏木と競り合う長谷川(15番)。左シャドーでプレーし、湘南の“鋭い”攻撃にどっしりとした“重み”も与えた。 写真:田中研治

[J1 2ndステージ7節]
浦和レッズ 4-1 湘南ベルマーレ 
8月6日/埼玉スタジアム2002
 

 湘南が浦和に敗れて、リーグ5連敗を喫した。一時はJ1残留圏に食い込み、ジャンプアップも狙えたものの……年間勝点、第2ステージともに17位に低迷している。鳥栖、神戸、仙台と残留争いをする"ライバル"に続き、この2試合は上位陣の川崎、浦和に土と付けられた。
 
 浦和戦は立ち上がりこそ湘南らしい全員で連動したハイプレッシャーがハマり、浦和の自由なパス回しを封じ込んだ。ただし、相手の良さはそれなりに消していたのだが、相手ゴールにはなかなか近づけない。

 そして、より全体が前掛かりになったところ、GK西川周作から関根貴大に縦のロングフィードを通されて、先制点を与えてしまう。そこでゲームプランが崩れ、2点目も献上した。
 
 前半終了間際の44分、菊池大介のクロスから大槻周平の気迫のこもった倒れ込みながら左足で捻じ込んだゴールで1点差として、追い上げムードは強まった。それでも後半は相手に主導権を握られ、効果的に追加点を奪われ、結局1-4で敗れた。
 
 第2ステージ3節のホームでの鳥栖戦で決定機を一度も作れずに0-2で敗れたところから、悪い流れを断ち切れずにいる。今回も川崎戦に続いて、序盤で失点を与えことが、最後まで響いた。
 
 それでも、浦和の武藤が「スコアの差ほど、ウチの内容が良かったというわけではない」と語っていたように、圧倒的な「差」が両者にあったわけではなかったとも言える。浦和相手に積極的に挑みなかで、光明も差した。

 具体的に浮上へのキッカケとなり得る、3つのポジティブな要素が見受けられた。
 
 まずひとつ目、左シャドーで先発した長谷川アーリアジャスールが存在感を発揮したことだ。敵陣の高めの位置でボールを確実にキープして、攻撃の起点や始点として機能していた。
 
 湘南は本来、相手にリズムを作らせない、縦に鋭く仕掛ける攻撃を武器としてきた。しかし今季は、永木亮太(→鹿島)、遠藤航(→浦和)の退団により、一度ボールを確実に収めるところを作れず、結果的に一人ひとりが単発で強引に仕掛けてはカウンターを食らうという悪循環を繰り返していた。ボランチの石川がその収め役としての役目をまずまずこなしていたが、相手の嫌がるような深い位置では仕事をできずにいた。
 

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