中国資本へ身売り間近のミラン。ガッリアーニ副会長の後任として、インテルの前GDがフロント入りとも

2016年08月06日 弓削高志

「ベルルスコーニは名誉会長職に留まる」が、ガッリアーニの処遇は不透明。

ベルルスコーニ(右)は名誉会長として留まる予定だが、ガッリアーニ副会長(左)の処遇は決まっていない。(C)Getty Images

 セリエAの名門ACミランが、ついに中国資本への身売りに向けて動き出した。
 
 8月5日(金)午後2時6分、ミランの親会社にあたる『フィニンベスト』は、同社が保有する99.93%の株式を総額7億4000万ユーロ(約836億円)で、中国投資グループへ譲渡する仮契約が発効したことを発表した。ANSA通信や『ガゼッタ・デッロ・スポルト』など地元メディアも一斉に報道した。
 
 電撃的に買収に動いたのは、「ハイシャ・キャピタル・マネジメント」社と「シノ・ヨーロッパ・スポーツ・インベスティメント」社という中国のベンチャーキャピタル企業で、彼らの事業内容など詳細はまだ明らかにされていない。
 
 株式の正式譲渡は今年末までに完了するとされ、「30年間に渡りオーナーを務めてきたシルビオ・ベルルスコーニ元イタリア首相は名誉会長職に留まる」とANSA通信は伝えている。
 
 ただし、オーナーと二人三脚でミランの黄金時代を築き上げ、チーム強化を一手に担ってきたアドリアーノ・ガッリアーニ副会長の今後の処遇は不透明だ。
 
 経営陣交代によるクラブ改革は不可避だろう。後任としてインテルの前GD(ゼネラル・ディレクター)マルコ・ファッソーネのフロント入りが決定的とも報じられており、ミラニスタの間には動揺が広がっている。
 
 同じく8月5日、チームは米国ツアーからイタリアへ帰国。一報を伝えられたヴィンチェンツォ・モンテッラ新監督は、ベルルスコーニの業績に敬意を表しつつ、「新オーナーたちが何を求めているのか見極めたい」と慎重なコメントを述べた。
 
 本田圭佑ら選手たちの処遇にも影響を与えるであろう、今夏の移籍市場へどの程度チャイナマネーを注ぎ込めるのか。現時点で明確な答えを出せる人間はそう多くはいないはずだ。
 
 南半球ではリオ五輪が開幕した。しかし、イタリアの今週末は「ミラン、ついに売却」のニュース一色になることは間違いない。
 
文:弓削高志(スポーツライター)
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