塩貝健人と後藤啓介。海外で活躍する“2人のストライカー”の共存は可能なのか。ロス五輪世代が得たU-23アジア杯予選の成果と課題【U-22日本代表】

2025年09月12日 松尾祐希

大きな価値があった厳しい環境での戦い

塩貝(左)と後藤(右)。2人の共存は可能なのか。写真:佐藤博之

 ロス五輪世代の強化を目論み、20歳以下の選手で構成されたU-22日本代表がU-23アジアカップ予選を戦った。年上の相手に対し、大岩剛監督が率いるチームは、苦戦を強いられ試合もありながらも3連勝を達成。見事に首位で来年1月の本大会出場を手中に収めた。

 ほとんどの選手やスタッフが初めて訪れたミャンマーでの戦い。試合会場のピッチ状態は想像以上に悪く、練習場は照明もないような環境下で戦うことを余儀なくされた。そうした厳しい状況を受け入れ、自分たちのベストを尽くす。こうした経験は日常で味わえないものであり、選手たちを逞しくするうえでは大きな価値があった。

 特に今回は今年9月下旬からU-20ワールドカップが開催されるため、日程の関係で船越優蔵監督が率いるU-20日本代表で主力を担う選手たちは不参加。FW後藤啓介(シント=トロイデン)、FW塩貝健人(NEC)、MF保田堅心(ヘンク)、DF小杉啓太(ユールゴーデン)といった世代のトップを走る海外組と、経験値が浅い大学生やJクラブの若手をミックスしたメンバー構成で挑んでおり、経験値が浅い選手も少なくない。

 選手層の拡充を目ざす大岩ジャパンにとって、過酷な環境で戦えた体験は選手の成長を促すうえで必要不可欠なものだった。
 
 試合を振り返っても、簡単なゲームはひとつもなく、アジアの厳しさや難しさを知る機会になった。初戦こそアフガニスタンに3−0で快勝したが、2戦目と3戦目は苦戦。ホスト国でもあるミャンマーとの第2節(2−1)はアウェーの大声援とも戦ったが、守りを固めてくる相手を崩し切れなかった。終了間際にMF名和田我空(G大阪)のゴールで勝ち切ったものの、一歩間違えれば勝点を失っていても不思議ではない。

 引き分け以上で首位突破となる第3戦。クウェートに敗れれば、2位となって他グループの結果次第では敗退となるなか、開始10分でリードを許すなど、厳しい状況に追い込まれた。そこから6ゴールを奪って勝ち切ったが、この試合も一筋縄ではいかなかった。

 タフさが求められる環境下でいかに自分たちの力を発揮するか。食事や気候など普段とは異なれば、調整方法も変わってくる。常にベストな状態で戦えるわけではなく、普段通りの準備ができるわけでもない。その中で最適解を見出すことを知れたのは、ロス五輪世代の選手にとってプラスだった。
 

次ページ今予選のもうひとつの収穫は…

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