開幕2戦連発。上田綺世が繰り返したキーワードは「準備」。背後を突く走りが蘇り、プレーの幅に広がりも【現地発】

2025年08月17日 中田徹

身体を投げ出して突っ込み、ダイビングヘッド

開幕から目に見える結果を残す上田。コンディションも良さそうだ。(C)Getty Images

 上田綺世(フェイエノールト)が8月16日のエクセルシオール戦でヘディングシュートを決め、開幕2試合連続ゴール。チームは2-1で勝った。

 0-1のビハインドで迎えた22分、MFクインテン・ティンバーの地を這うような強烈なシュートを、エクセルシオールのGKカルビン・ラーツィーが辛うじて止めてボールが宙に浮きかけた。このGKが弾いたボールに、上田が身体を投げ出して突っ込み、ダイビングヘッドでゴールネットを揺らした。

「ああいうこぼれ球とか、自分の意識で取れるようなゴールを今年は増やしていこうという、取り組みをしています。開幕1試合目のゴールもそうでしたけれど、こぼれ球、セカンドボールのところは常に意識してます。それが今日も繋がったと思います」

「開幕1試合目のゴール」とは8月9日、NACとのホームゲームで記録したもの。55分にボックス内でMFセム・スタインの打ったシュートがDFにブロックされ、足もとにこぼれてきたボールを上田が振り足鋭いボレーシュートで今季初ゴールを決めた。

 シーズンが開幕してから間もないが、今季の上田はディフェンスラインの背後を突く、得意のフリーランニングが蘇っている。エクセルシオール戦では前半、DFアネル・アフメドホジッチのスルーパスを受けた上田がGKと1対1になる絶好のチャンスを迎えた。しかしシュートのコースが甘くストップされた。

 さらに後半、左サイドからMFルチアーノ・バレンテが柔らかなタッチで浮き球のスルーパスを上田に出したが、相手DFにうまく身体を入れられてしまい惜しくも届かなかった。その直後、上田はバレンテにナイスパスのシグナルを送っている。

 バレンテは5日前の対フェネルバフチェ(フェイエノールトは2-5で負け)の後半にも、上田に絶妙のスルーパスを通した。
 
「今日もそうでしたが、後半、相手がロングボールを蹴ってきて、うまく拾えた時にスペースが広くなり、うちの40番(バレンテ)はパスを出す感覚をすごく持っている選手なので、意志の疎通ができている。動き出しのところも少しずつタイミングが良くなってきたと思います」

 8月2日のプレシーズンマッチ、ヴォルフスブルク戦(4-0でフェイエノールトの勝利)で上田は2ゴールを決めた。共に相手の背後をフリーランニングで突いてから、スルーパスを受けて仕留めたものだった。なかでも2点目は、DF渡辺剛がハーフウェーラインからロングレンジのスルーパスを上田に通して決まった、素晴らしい連係のゴール。

「こんなパスを俺は欲しかった」と思ったのでは? そう尋ねると上田は「準備」というキーワードを繰り返した。

「あれも、手前の選手(スタイン)が受けるシチュエーションでした。それも含めて常に準備するということ。準備のクオリティが上がっていると思います」

 渡辺のパスに対して、スタインが触れるかどうかギリギリのタイミングでスライディングしながら足を伸ばした。どのような形で自分にボールがこぼれてくるのか、判断は難しかったはずだが、上田は準備の質を上げることでスムーズな形で渡辺からのパスを受け、ゴールにつなげたのだった。
 

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