清武はセビージャで生き残れるのか? ライバルの加入と活躍でポジション争いは超熾烈

2016年07月25日 工藤拓

清武のポジションはインサイドハーフかトップ下?

EL王者セビージャに引き抜かれた清武だが、プレシーズンキャンプの1週間足らずで故障離脱。出足で躓いた。(C)REUTERS/AFLO

 今夏にハノーファーからヨーロッパ王者であるセビージャへのステップアップ移籍を果たした清武弘嗣が、早くも試練を迎えている。
 
 7月11日の練習中に内転筋の肉離れを起こして3~4週間の離脱を強いられた清武は、同13日に始まったアメリカ遠征、同23日からのドイツ遠征への帯同を断念。チームを離れて日本でリハビリに専念し、24日にようやく再度スペイン入りした。
 
 プレシーズンの始動から1週間足らずでの離脱により、新チームへの適応とポジション争いの両面で大きく後れを取ることは間違いない。起きてしまったことは仕方ないが、はやる気持ちを抑えるのは簡単ではないだろう。
 
 なにしろセビージャは、清武と共に入団会見を行ったパブロ・サラビア(ヘタフェから)に加え、その後にホアキン・コレア(サンプドリアから)、フランコ・バスケス(パレルモから)、そしてガンソ(サンパウロから)と、同じく2列目を主戦場とする選手を3人も獲得しているのだ。
 
 いずれも清武加入後に就任したホルヘ・サンパオリ新監督の要望によって獲得した選手であり、怪我による出遅れを抜きにしても、現時点では清武より序列が上だと考えるのが自然だろう。
 
 そもそもサンパオリは、かくも多くのタレントたちをいかに使いこなすつもりなのか。現時点ではまだ2試合のテストマッチしかチェックできていないが、その中でも見えてきた部分は少なからずある。
 
 ひとつは、指揮官の3バックへのこだわりだ。7月17日のリーベル戦では、師と崇めるマルセロ・ビエルサ譲りの3−3−1−3をスタートから78分まで試した。
 
 3日後のインデペンディエンテ戦は4−3−3でスタートしたが、CBのニコラス・パレハが一発退場となった28分以降は3バックを選択。両ウイングがややポジションを下げてバランスを取る3−1−4−1とも言える前がかりな布陣を70分まで維持していた。
 
 今後は4−3−3や4−2−3−1を試行する可能性もありそうだが、もし3−3−1−3が今シーズンの基本布陣として定着した場合は、清武が定位置を争うポジションは左右のインサイドハーフとエンガンチェ(トップ下)という3つになりそうだ。
 
 3バック採用時のウイングは難易度が高い。4−2−3−1と4−3−3のサイドアタッカーならまだしも、SBが不在の3バックではウイングがタッチライン際いっぱいに開いて横幅をキープしながら、ボールを持った際には単独でのドリブル突破が求められるシーンが多くなる。どちらかと言えばパサータイプの清武には、苦しい役回りである。
 
 過去2試合を見てもビトーロやエフゲン・コノプリャンカなどのドリブラーはこの役目をしっかりこなしていたが、スピードと突破力に欠けるサラビアは後方へパスを戻すシーンがほとんどで指揮官の期待を裏切った。彼が持ち味を発揮しはじめたのは、インデペンディエンテ戦の後半途中にインサイドハーフに移ってからだった。

次ページ清武にとっては持ち味のかぶるライバルが複数いる。

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