鹿島戦2得点の李忠成が語ったFWの人生訓。確率は“1%以下”「でも100回すべてに全力で懸けて…」

2016年07月25日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

途中出場から浦和を逆転勝利に導く。加入後3シーズン目で自己最多の7ゴール目。曽ヶ端のファンブルに詰めた一撃は、決して偶然ではなく――。

2ゴールを奪った李。リーグ通算7ゴールとして、11年以来のふた桁得点も見えてきた。むしろ、優勝へのノルマとなりそうだ。(C)SOCCER DIGEST

[J1第2ステージ5節]
鹿島アントラーズ 1-2 浦和レッズ/7月23日/県立カシマサッカースタジアム
 

 浦和のFW李忠成が鹿島戦で後半開始から出場し、2ゴールを奪って逆転勝利に導いた。第2ステージに入り5試合・3得点。リーグ通算7ゴールは、浦和に加入後3シーズン目で最多だ。
 
 第2ステージ2節の柏戦では技ありの"ひとり時間差ボレー"を叩き込んだ李だが、この日もストライカーの本能を感じさせる、これまでにないふたつの形で得点を挙げた。
 
 1点リードされて迎えた62分、柏木陽介の右サイドからのクロスに、DFファン・ソッコより一歩前に競り勝ち、右足でシュートを押し込む。柏木と李、レフティのふたりが、右足のクロスとフィニッシュで仕留めた珍しい形での一撃だった。
 
 李は次の次ようにゴールシーンを振り返って、笑みを浮かべた。
 
「一度相手をブロックして、前にスペースを作り飛び込んだ。シュートを打つスペースを作るのが上手かった(元浦和の)ワシントンが得意としていた形をイメージして、そのとおりに決められた」
 
 一旦ゴール前に侵入してファン・ソッコの動きをブロック。動き直して、DFとGKの間にできたスペースを突いた。そこに「狙っているところに陽介からパスが来た」と、柏木からの精度の高いキックに合わせて叩き込んだ。
 
 そして2点目は、カウンターから武藤のシュートをGK曽ヶ端準がファンブル。ゴール前に詰めていた李がこぼれ球に反応して、左足を振り抜いてねじ込んだ。
 
 曽ヶ端の痛恨のミスではあった。ただ、そこにしっかり詰めていた李の嗅覚も、やはり評価すべきだろう。
 
 李は2点目について次のように語った。ストライカーの矜持の詰まった言葉だった。
 
「100回詰めて、1回入るかどうか。でも、100回すべてに全力で懸けて詰めていなければ、決められないゴールだった」
 
 確率は1%以下――。しかし、そこに詰めていなければ、ストライカーとしては失格だ。
 
 だからこそ、価値ある1点だったと、彼は胸を張った。

 

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