俊輔中心の横浜の流動性を「凄かった」と称える小林祐希は、自らの“宿題”に苦悩

2016年07月24日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

何度も受けて、はたいて、動き直したが……。

横浜戦では、第2ステージ初のフル出場を果たす。「早い時間で交代する試合が続いていたので、90分出られるようになったのは、復調の兆しというか、良い方向に向かっていると思う」。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1・第2ステージ5節] 横浜 1-1 磐田 7月23日/日産スタジアム
 
 スーツケースに手をかけた小林祐希が去り際に言った。「やり続ける」と。
 
 トップ下で攻撃のタクトを振るおうとしても、なかなか思うようにはいかなかった。理想は、相手ゴール前の近くで、前を向いて足もとにボールを収めるシチュエーションだ。そうすれば、自慢の左足で多彩なフィニッシュワークを披露できる――しかし、実際の小林のプレーは、試合を決めるようなプレーの"前段階"でストップしていた。
 
 良い位置でマイボールにできないなら、あるいはパスが届かなければ、ひとつ落ちて受けてさばく、またはサイドに流れてパスを引き出し、味方に預けてリターンをもらおうとする。
 
「俺がなにかアクションを起こして」と、懸命にリズムを作り出そうとしていた。受けて、はたいて、動き直して、下がって、サイドにポジションを取って……。
 
「その繰り返しです。繰り返すしかない」
 
 中村俊輔という国内随一のプレーメーカーを擁する横浜が相手だったことで、チームの現状を突きつけられたようだ。
 
「向こうの場合、例えば、中村俊輔が引きました、カイケも引いてきて、齋藤学が入ってきたり、ボランチが外に開いたり、とか。そういう流動性が凄かった」
 
 少なくとも、今の磐田には、横浜のように空いたスペースを効果的に使いながら、複数人が絡んでボールを動かすパスワークはそこまで成熟していない。小林がアクションを起こしても、ごく限られた選手しかそれに反応できていない印象だ。
 
 この試合、小林の総走行距離は、川辺駿の12.605キロに次ぐ、チーム2位の12.348キロを記録。流動性を生み出そうと懸命に走り回れば、「ボールを持った時には疲れている」のも仕方がない。それでも、小林は「やらなければならない」と前を向く。
 
 小林は苦悩している。「分からないけど、俺が変えるべきなのか、周りが変えるべきなのか」と。
 
 ひとつの打開策として、背番号4はこんな風に考えている。
 

次ページ「割り切りがないと、自分の中で消化していかない」。

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