「逆に長友さんを自分が引っ張る」俵積田晃太の高みを目ざすマインドは確実に変化。自慢のドリブルで“盛り上げたい”【FC東京】

2025年07月20日 元川悦子

ホーム浦和戦は3-2で競り勝つ

抜群の突破力が売りの俵積田。貪欲な姿勢でさらなる進化を期す。(C)SOCCER DIGEST

 E-1選手権の影響で2週間、試合が空いたJ1が再開。FC東京は7月19日、味の素スタジアムに浦和レッズを迎えた。

 6月に加入した小森飛絢を1トップに据え、一気にギアを上げようとした浦和に対し、FC東京はE-1で日本代表のキャプテンを務めた長友佑都が右サイドバックで躍動する。

 開始早々の6分には、右サイドから鋭いクロスで遠藤渓太の先制弾をいきなりお膳立て。チーム全体に大きな勢いを与えたのだ。

 その後、前半のうちに浦和に2点を返され、前半終了間際にマルセロ・ヒアンのゴールはVARの末に取り消されるという苦しい展開を強いられた。が、長友は「前回の浦和戦は逆転負けして、非常に悔しい思いをしていたから、『借りを絶対に返すぞ』と後半に入った」とピッチ上で闘争心を強く押し出したのだ。

 その気迫がチーム全体に伝わり、後半は浦和を圧倒。先のクラブ・ワールドカップを戦った相手が、4週間ぶりの公式戦で途中から足が止まったことも追い風となり、67分には再び長友のアシストからM・ヒアンが同点ゴールをゲット。終了間際には途中交代の仲川輝人が逆転弾を叩き出し、FC東京は乱戦を3-2で制したのである。

 長友の1試合2アシストは、実に13年7か月ぶりだという。

「ヒアンのゴールはアシストだと思ってなかったんですけど、試合が終わって2アシストと聞いて、『あれアシストになるんだ、ラッキー』と思いました」と彼は試合後、メディアを笑わせたが、その雄姿に刺激された1人が、逆サイドに陣取った俵積田晃太だ。
 
 ご存じの通り、彼もE-1に参戦。長友とともに中国戦に先発し、チームは2-0で勝利したものの、やや不完全燃焼感の残るパフォーマンスに終わっていた。

 同じ左ウイングバックでプレーした相馬勇紀(町田)が香港戦、韓国戦でジャーメイン良(広島)の計3ゴールをアシストする目覚ましい働きを見せたのだから、若武者は悔しさを感じていたに違いない。

 それを晴らすべく、浦和戦では「とにかく仕掛けてやろう」という貪欲さを胸に秘め、アグレッシブにプレーしたのである。

 俵積田らしさが色濃く出ていたのは、後半の開始4分、左サイドでのロングドリブル。ハーフウェーライン手前からスタートし、グングン加速してペナルティエリア内で中央へ折り返したのだ。

 そこに飛び込んだのが遠藤。背番号22のフィニッシュは惜しくも枠を外れたが、「自分がチームを勝たせるんだ」という強い意欲が俵積田から伝わった。

「自分の特長はドリブルなんで、ドリブルでどんどんえぐって、『サイドの選手はこうでなきゃいけないぞ』みたいなプレーをどんどん出さないといけない。そういう気持ちを出しました。

 長友さんにはいつもチームを盛り上げてもらうばかりなので、長友さんに引っ張ってもらうんじゃなくて、逆に長友さんを自分が引っ張るような勢いを出していければと思います。僕は長友さんとは盛り上げ方のタイプが違うし、声をメッチャ出すわけじゃないんですけど、プレーでどんどん盛り上げていかなきゃいけないなと感じています」
 

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