[本田泰人の眼]A代表にこれから呼んでもいいのは早川と細谷。E-1には今後、23歳以下のチームで出場するのはどうだろうか

2025年07月18日 本田泰人

韓国戦は唯一見応えのある試合だった

中国戦でビッグセーブを披露した早川。大迫より序列は上がったのではないか。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 Jリーグ組の意地を示した一方で、A代表のレベルの高さを感じさせた――それが今回のE-1選手権を見た率直な感想だ。

 日本は香港、中国、韓国に勝利し、3戦全勝で2大会連続3度目の優勝で幕を閉じた。Jリーグ組で臨んでノルマだった優勝を果たしたことは評価に値する。

 もっとも、「Jリーグ組の意地を示した」ということ以外、評価できる点は見当たらなかった。

 香港戦も中国戦も、決してレベルの高い試合ではなかった。ミスも多く、強度も低い。勝って当たり前の試合だ。「これが代表なの?」と言わざるを得ない内容で、Aマッチと呼ぶには低調なレベルだった。

 そこで結果を出したとしても、果たしてワールドカップで通用するのか。判断材料にもならない。大会の最優秀選手に計5ゴールで得点王のFWジャーメイン良が選ばれたが、彼がそのままA代表入りするとは考えにくい。

 代表チームはその名のとおり、その国を代表する選手が集まったチーム。それをA代表というならば、サブメンバーに名を連ねる欧州組さえも呼べなかった今回はC代表だ。

 C代表レベルの大会だから、注目度も低い。香港戦の観客数は687人、中国戦のそれは1661人だった。日本も韓国も欧州組が不在で、なおかつ重要度の低い大会とあっては、ファンがスタジアムを訪れないのは当然だ。

 それでも優勝をかけた第3戦の韓国戦には、1万8418人のお客さんが集まった。試合のレベルは決して高いわけではないが、ライバル同士の戦いとあって、強度という点でも、唯一見応えのある試合だった。
 
 この大事な一戦で驚いたのは1トップの人選だ。なぜ垣田裕暉を起用したのか。

 今季のJ1で5得点・3アシストをマークして好調なのは知っている。ポストプレーに定評があり、所属クラブでは垣田のほうがスタメンで使われるケースが多いものの、代表での実績だけを考えたら、細谷真大がファーストチョイスであるべきだ。

 もちろん2戦目の中国戦で細谷はスタメン起用されていたため、コンディションを考慮して2戦連続の起用を避けたのかもしれないが、優勝のかかっている試合の重要度を考えれば、2戦目は垣田、3戦目は細谷で行くべきだ。細谷の心情を考えても、理解に苦しむ選択だった。

 もし所属クラブの立ち位置を優先するのであれば、なぜ長友佑都を中国戦でスタメン起用したのか。今季、彼はFC東京でピッチに立つことさえ少ない状況にある。代表での実績を重視しての選択ならば、細谷を韓国戦で使うべきだったのではないか。

「全選手を使って優勝する」という目標を掲げていた森保一監督の考えがあるのだろう。結果、3戦全勝したからケチをつける点はないが、もし韓国戦で負けていたら、この垣田のスタメン起用はもっと議論の的となっているはずだ。

 韓国戦の内容に触れると、引き分けでも優勝できる日本は、早い時間帯にジャーメインが華麗なボレーで先制して、その後は守りに徹して逃げ切った。

 韓国がギアを上げて守備一辺倒となった後半こそ、A代表入りの判断材料となったが、そこでアピールに成功した選手がいるかと聞かれたら、残念ながら「一人もいなかった」と言わざるを得ない。

 スーパーセーブを連発したキーパーの大迫敬介は賞賛に値する。彼が"当たって"いなければ、結果は変わっていたかもしれない。つまり、韓国戦のMVPは大迫で決まりだが、ただし能力だけで比べたら、鈴木彩艶より明らかに見劣りしている。

 むしろ能力だけで見たら、中国戦でビッグセーブを披露した早川友基のほうが上のレベルにある印象を受けた。1対1でのシュートストップは勢いで止めていたのではなく、しっかりと相手の動きを見て反応していた。ヤマをはるキーパーが多いなか、187センチとサイズがあるのに、下への反射神経が良いのが早川の武器。大迫よりも序列は上がったのではないか。
 

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