FC東京が劇的な展開で横浜FCを２−１と下した試合で主役のひとりになったのが全２ゴールに絡んだ長倉幹樹だ。０−１で迎えた85分にヘッドで同点弾を突き刺すと、後半アディショナルタイムにはエリア内で相手のファウルを誘ってPKを獲得と、途中出場で大きな仕事をやってのけた。

　ただ、不思議だったのは自ら得たPKを森重真人に譲った点だ。あの場面、松橋力蔵監督から「モトキで」と指名されたにも関わらず、なぜ蹴らなかったのか。そこには"苦い記憶"があった。

「去年、（名古屋グランパスとのルヴァンカップ決勝で）PKを外して。そのトラウマが少しありまして」
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　そう言って記者団の笑いを誘った長倉は、代わりにPKを決めた森重に「素晴らしい」と称賛の言葉を送った。

「ああいう場面は見ている人もすごく緊張するはずで、蹴る本人には大きな責任がのしかかります。そこで決め切るのは凄いです」

　とはいえ、途中加入でいきなりここまで活躍できるのも凄い。瀕死状態のFC東京を救った長倉の活躍は、PKを決めた森重と同じく素晴らしかった。

取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）

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