鈴木大輔がスペインで感じた日本人CBの可能性。「コンタクトも技術も通用する。大事なのは自己主張すること」|独占インタビュー中編

2016年08月17日 サッカーダイジェストWeb編集部

ナスティックは2部残留が目標のチーム。だから、チームと自分の目標は違った。

鈴木の加入から間もなくクラブの目標である"2部残留"を達成していただけに、"1部昇格"に貢献できなければ契約延長は危ういと感じていたという。(C)Rafa Huerta

 今年1月にスペインに渡り、練習生からヒムナスティックとの契約を勝ち取った鈴木大輔。パフォーマンスが"数字"に現れにくいCBというポジションながら、わずか4か月でチームでの立ち位置を確立し、昇格プレーオフにもレギュラーとして出場した。
 
 結果的に1部昇格は果たせなかったが、それまでのパフォーマンスが評価され、ヒムナスティックとの2年間の契約延長にこぎつけた。今は来るべき新シーズンに向け準備を整えている。
 
 濃密な4か月間を過ごし、次のステップへと進んだCBは、なにを思うのか。スペインで2シーズン目を迎える鈴木大輔に、成長の手応えとこれからの展望、そして日本代表に対する想いを訊いた。

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――プレーオフの初戦で相手に"飲まれた"とのことですが、具体的に言うと?

 自分たちも多くのチャンスを作っていたんですけど、そのなかで相手に決められた時に、ちょっとチームのパワーが落ちました。ポゼッションもそうだし、守備のところでもパワーが落ちちゃって、そのまま相手のペースで第2戦の最後まで行ってしまったかなと感じています。
 
――ひっくり返すパワーがなかった?
 
 そうですね。個人的にも飲まれる時間帯があって、そこは新しい発見でしたが、課題は残ったかなと。
 
――"独特の雰囲気"という点で言えば、新潟時代に壮絶な残留争いを経験していますね。
 
 奇跡的な残留をした時もありましたね。あの時も、その試合にかけるプレッシャーはありましたけど、プレーオフはまたちょっと違った。落ちるプレッシャーではなく、上がって人生が変わるっていう浮き足立ちそうになる自分を制御しながらやらなければいけなかった。目前にある1部昇格を見すぎると、ダメになりそうな自分がいたので、足下を見ろと思ってやっていました。
 
 そういうのは、チームメイトにもあったかなと思います。10年ぶりの1部昇格のチャンスだったので、街自体も凄く盛り上がった。シーズン終盤の勝ち続けている時から凄く注目されるようになったんです。街が盛り上がって、観客も凄く入っていた。そういうなかでも自分のプレーをできる選手もいれば、ちょっと調子を落とす選手もいたので、その難しさはありました。
 
――自分のプレーをできていた選手は?
 
 1部を経験している選手やベテランの選手でした。そういう時にこそ力を発揮できる選手は、割と経験がある選手が多かったですね。
 
――鈴木選手自身も、1部に昇格できたら来季の契約を勝ち取れるという想いがあったと思います。
 
 半年契約で勝負しているから、1部にチームを上げるために来たと思っていました。あのタイミング(シーズン後半戦)でCBを補強するのは現実的ではないと思うし、ここで試合に絡むようになってチームを1部に押し上げるのが役目だと思っていたので、そういう意気込みは良かったかなと思います。
 
 ただ、ナスティックは、3部から上がってきた、2部残留が目標のチームなんです。だから、俺が加入してちょっとの段階でチームの目標は達成していたんですよ。実際に、残留が決定した後に集会があったりしました。
 
 でも、そこを達成しても自分の評価にはならないわけで、なにかプラスアルファで失点数が減っただとか、勝ち星を拾えるようになったとか、1部に上がる原動力になったというのがないと、次(の契約)はないと思っていました。だから、チームと自分の目標は違ったかなと思います。

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