怪童から怪物へ進化する鳥栖の19歳。「次世代エース対決」は鎌田が神谷を圧倒する

2016年07月15日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

プロフィールでは180センチ・72キロの鎌田だが、さらにひと回り大きくなった印象を受ける体躯で当たり負けせず。鋭いターンやスプリントを連発。

53分、鎌田が決定的なシュートを放ったが、ボールは間一髪飛び込んだ神谷の身体に触れて枠を越えた。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1・第2ステージ3節] 湘南ベルマーレ 0−2 サガン鳥栖
7月13日(水)/Shonan BMWスタジアム平塚
 
 
 湘南対鳥栖戦で注目を集めたのが、鳥栖の鎌田大地と湘南の神谷優太による「次世代エース対決」だった。しかも、ふたりがマッチアップする構図となり、その勝敗が試合展開にそのまま直結。結果的にスコアが示すとおり、2年目を迎える19歳の鎌田が、高卒ルーキーの神谷を"圧倒"した。
 
「立ち上がりの5分、プレッシングをかけてこようとする湘南に同じくプレスを前からかけて真っ向から挑み、球際やセカンドボールのところで上回る。そういう狙いをチームで持っていた。そこでしっかり行けたので、いい入り方ができた。だからこそ、僕がシュートを決めていれば、もっと余裕で勝てていた展開だったと言えた」
 
 鎌田はそのように振り返った。
 
 試合開始と同時に、鳥栖が湘南に襲い掛かった。アウェーチームはしっかり守備を固めてくるのではないか、そんな戦前の予想を覆す大胆な奇襲を仕掛けたとも言えた。
 
 豊田と早坂の2トップが高い位置からプレッシングを掛ける。トップ下に入る鎌田はバイタルエリアで何度もボールを受けて相手選手を翻弄。状況に応じてサイドのスペースに出てボールを持って前を向く。ドイツ代表のマルコ・ロイスを彷彿させる、強くて、速くて、しかもテクニックを備えた攻撃で常に主導権を握り、神谷を守備に走らせて、ほとんどなにも仕事をさせなかった。
 
 なにより、プロフィールでは180センチ・72キロの鎌田だが、さらにひと回り大きくなった印象を受ける体躯で当たり負けせず、鋭いターンやスプリントを連発。開始3分に、スルスルっと抜け出してこの日両チーム最初のシュートを放つ。そして10分、ペナルティエリア内でマークを振り切りフリーでシュートを放ったものの――、枠を捉え切れない。
 
「良い形で試合に入れて、チャンスも作れた。最初の(決定的な)シュートを外してしまいもったいなかったが、その後もブレずにできた」
 
 そして15分に鎌田のプレッシングで得たスローインから、高橋―豊田という連係から2試合連続でゴールが生まれた。サイドでの守備が後手を踏み、中央にいる豊田、早坂、さらには鎌田の誰かが必ずフリーになっていた状況を見て、湘南の曹監督は布陣を4バックに変更。マンマーク気味の守備にした。
 
 

次ページチームの心臓になるためには――。湘南の神谷は悔しそうに反省点を挙げる。

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