鳥肌が止まらない。等々力のピッチに「自分の力で立ったのは初めて」。日大藤沢2年生MF中村龍剛にとって忘れられない一日に

2025年06月12日 安藤隆人

チームの中枢として安定感のあるプレーを披露

等々力のピッチで躍動した日藤の中村。写真:安藤隆人

 インターハイ神奈川県予選の準々決勝・日大藤沢vs.桐光学園の一戦。日大藤沢の背番号6、2年生MF中村龍剛は強い思いを持って、等々力スタジアムのピッチを踏みしめていた。

 ポジションはアンカー。試合が始まると、常に首を振って周囲の状況を把握。GKがボールを持てば左右に開いたCBの間に落ちてボールを受け、そこからビルドアップのスタートポイントを作ったり、ミドルサードでは相手のプレスをかい潜りながらキープして、サイドや前線の3枚に攻撃のスイッチを入れる縦パスを入れたりと、パスを繋いでいくチームの中枢として安定感のあるプレーを見せていた。

 中村は7分にチームのファーストシュートの起点となると、37分には右のハーフスペースにボールを持ち出すと、前でスクリーンしていたFW有川啓介の足もとに「ターンして左足で打ってほしいと右足を狙いました」というメッセージ付きのラストパスを送り、強烈な反転シュートを引き出した。

 後半に入ってもセカンドボールの先には常に中村がおり、マイボールにすればテンポ良く周りに配った。

 しかし、チームはゴールを奪えず、試合はスコアレスのまま延長戦へ。このタイミングで中村は交代を告げられた。延長後半、日大藤沢は2失点を喫し、全国の夢はベスト8で潰えた。
 
「最後まで戦い切れなかったことが情けなく感じます。80分間(40分ハーフ)を見ても、滑ってボールをかき出すとか、際のところで勝つか負けるか。インハイ予選を突破する難しさを痛感しました。

 ベンチに下がってからは、普段から俺が一番声を出してやろうと常に思っているので、チームを鼓舞することしか考えていなくて、叫んでいました。だからこそ、すべてにおいて力不足でした。ピッチ内外で学年関係なしに、もっと自分が発信しないといけないと思いました」

 試合後、中村は唇を噛んだ。しかし、この試合は彼の人生において意義深く、かつ一生心に刻まれる財産になっていた。

「等々力スタジアム(Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)は本当に特別な場所だなと。『前回』と今回はまったく違いましたね。公式戦では、自分の力で立ったのは初めてでした」

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