「とにかくサッカーが縦に速い」AZ毎熊晟矢が充実の欧州1年目で体感した“オランダとJリーグの違い”を明かす。「だからこそ、1対1は絶対に負けてはいけない」【現地発】

2025年05月24日 中田徹

AZ番記者は「本当にレベルが高く、完成された選手だ」と感嘆

オランダの地で毎熊は、持ち前のサッカーIQの高さを存分に示した。(C)Getty Images

 UEFAカンファレンスリーグ出場権を懸けたオランダリーグのプレーオフ、毎熊晟矢が所属するAZは4月22日、ヘーレンフェーンと準決勝を戦い、4−1の快勝を収めた。右SBの毎熊は45分、ペナルティエリア右からのクロスで、FWマックス・メールディンクのヘディングゴールをアシストした。

 前半を3−0で終えると、オランダ全国紙のAZ 番記者は「毎熊がアシストしたな。彼は本当にレベルが高く、完成された選手だ」と感嘆していた。

 チームがボールを保持した時の毎熊は、縦へのオーバーラップはもちろんのこと、アンカーの位置にポジショニングを取りながら、中盤の芯としてビルドアップに絡む。さらに味方にパスを出すと一気に前方にフリーランニングして、メールディンクと2トップの関係を作った。

 ストライカーの位置から守備への切り替え時の毎熊は一旦、アンカーのところにスプリントすることで、相手の速攻を中盤で潰す場面もあった。本来の右SBのポジションではヘーレンフェーンの左ウインガー、エサー・ギュルビュズに対して、推進力を持って当たりに行き、その裏に生まれたスペースにSBマッツ・ケーラールトが上がってきても、毎熊はその動きを事前に読んで即座にカバーしていた。
 
 トゥベンテとのプレーオフ決勝が中2日で行なわれることから、毎熊、そしてハットトリックを完成したメールディンクは61分にベンチへ下がった。

 アシストシーンに関して、「そんなに簡単なシュートではなかったので、決めたマックス(メールディンク)が凄かったなと思います。感謝しています。僕がうまくフリーになっていたので、繋がって良かったです」と21歳のストライカーを称賛した毎熊に対し、「課題だった守備に手応えを感じているのでは?」と尋ねると「そうですね。まだまだやらないといけない部分もありますけれど、こっちに来て成長していることがたくさんあると思います」と返答した。

 欧州デビューイヤーの毎熊にとって、この1シーズンは良い時もあれば悪い時もあり、怪我に悩まされた時期もあった。この1年を総じて振り返ると充実のシーズンだったと言えるのではないだろうか。

「そうですね。プロ入ってからいろいろな監督のもとでやらせていただきましたけれど、監督ごとにサッカーが変わるなかでずっと使っていただきました。『順応するチカラ』は自分の特徴でもある。オランダはJリーグとは全然違うサッカーですけれど、うまくチームに溶け込めました。僕個人としてはもっと数字を伸ばしたかったですし、サッカーの違いなど、いろいろ難しさもありました。まだ残り1試合ありますが、この1年を反省して来シーズンに繋げたいと思います」

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