【熊本】家に帰れるありがたさ--。巻の言葉に象徴される3か月ぶりの“ホーム試合”の意義

2016年07月04日 本田健介(サッカーダイジェスト)

入場はホームスタンドのみも多くのサポーターが詰めかける。

試合前、ウォーミングアップに現われた選手たちが肩を組みサポーターと心をひとつにする。客席からは大きな声援が飛んだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 4月の熊本地震から約3か月が経った7月3日、ロアッソ熊本はようやく、ホームうまかな・よかなスタジアムで"復帰戦"を迎えた。
 
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 安全確認の問題などで使用できたのはホームスタンドのみ。現状ではゴール裏、バックスタンドは立ち入り禁止となっている。試合約1時間前には震度3の揺れを感じ、人々がどよめくなど、以前の姿に戻るまでにはまだ時間はかかりそうだ。
 
 それでも待ちに待った日を迎えたサポーターの熱は非常に高かった。ホームスタンドを覆い尽くする赤い声援は、選手の登場とともに最高点に達し、力強く後押しする。この日を待っていた――スタンドには涙を浮かべる人も少なくなかった。
 
 それは選手たちも同様である。地元出身の巻は語る。
 
「自分たちの背中に多くのサポーターがいてくれるのは凄く感慨深かったです。力強かったです。絶対に勝たなくちゃいけないと感じていました」
 
 想いは序盤から形となって現われる。「先制するまでは良い状態でやれた」。選手が口々に振り返ったように、リーグ2位のタレント軍団・C大阪を相手に一歩も引かずにゴールへと迫った。
 
 そして歓喜の瞬間は8分。ショートコーナーから清武がクロスを入れると、ファーサイドで園田がヘディングで折り返し、薗田がダイビングヘッドで反応する。ネットが揺れた瞬間、溢れんばかりの歓声がこだまし、選手たちも大きなジェスチャーで呼応する。俺らはここに帰って来たんだ! そう言わんばかりに各々が雄たけびを上げた。
 
 しかしだ――、やはりC大阪の壁は厚かった。13分に同点に追い付かれると、やや可哀想な判定で、この日のヒーローとなるはずだった薗田が27分にPA内でR・サントスを倒して一発退場。結局は1-5で敗れた。
 
「もっとできたんじゃないかなと悔しいです」
 
 試合後、キャプテンの岡本は厳しい表情で語った。
 

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