冴えない交代要員からゴールに絡む中軸へと成長…“22歳日本人”を蘭メディアがこぞって絶賛!本人は「悩みながら過ごしていた」と苦難の日々を回顧【現地発】

2025年04月08日 中田徹

「90分間出るようになってから『90分の身体』みたいになってきた」

V字回復を果たして勢いに乗る三戸。スパルタの順位も上昇中だ。(C)Getty Images

 前節のフォルトゥナ・シッタルト戦(3-0)で2ゴール。今節4月6日のNEC戦(2-0)では1アシスト。スパルタ・ロッテルダムのウインガー、三戸舜介が自慢のアジリティーで大柄のオランダ人DFを翻弄し、味方にとっては頼もしく、敵にとっては脅威のアタッカーとして活躍している。しかもタフ。以前の彼は前半良くても後半消えてしまうプレーヤーだったが、今は最後までスピードとスタミナが衰えず、しかも相手のボールを狩り切るスライディングで、苦しい時間帯のチームを助けている。
【画像】"世界一美しいフットボーラー"に認定されたクロアチア女子代表FW、マルコビッチの魅惑ショットを一挙お届け!

 スパルタの好調を報じる『VI』は、三戸についてこう書き記している。

「クラブ史上最高額のプレーヤー、三戸舜介が才能を発揮し始めた。彼は浮かない交代選手から、毎週のように相手を脅かしゴールに絡む選手に成長した」

 フォルトゥナ戦で放送局『ESPN』の、NEC戦では『デ・テレフラーフ』紙の選ぶ週間ベストイレブンに、三戸は名を連ねた。

 今季前半戦は途中出場ばかりで、しかも結果を残せず冴えない半年を過ごした。ところが第16節のNEC戦(24年12月15日/1-1)に先発に復帰してからの三戸は、連続スタメン出場を13試合続けている。

 実は、フォルトゥナ戦で爆発する前の2試合、三戸は前半だけでベンチに下げられる憂き目に遭った。25節のNAC戦(1-1)はそれも仕方なしのパフォーマンスに思えたが、続く26節、ズウォーレ戦(1-1)の三戸は身体にキレがあり、ときおりサイドを切り裂き、ゴール正面で相手CBと空中戦に競り勝ってヘディングシュートも放っていた。贔屓目なしに、たった45分で見切られるような出来ではなかったと私は思った。当時の心境をNEC戦後、本人に訊いてみた。

「納得いかなかったですよ。(ズウォーレ戦での出来は)良くはなかったですけれど、『なんで前半で交代なのかな』と感じました」

 幸い、サッカーカレンダーが国際マッチウイークに入ったため、ポルトガルリーグでプレーする福井太智(FCアロウカ)、山田楓喜(ナシオナル)とリスボンで会い、小久保玲央ブライアン(前ベンフィカ/現シント=トロイデン)から教えてもらったレストランで舌鼓を打って英気を養い、リフレッシュしてスパルタの練習に戻ることができた。
 
 スパルタの場合、週の初めの練習で次の試合のスタメンが分かるのだという。そこで三戸もフォルトゥナ戦で自分がスタートから出ることを知った。「自分はまた最初から使ってもらえる」という安心感と、「またやってやる」という強い気持ちを抱いた。こうして生まれたフォルトゥナ戦での鮮やかな2ゴール。これで今季の三戸のゴールは5つになった。

「嬉しかったですね。ゴールをあんまり取れてなかったし、また自分を奮い立たせる、そんなゴールになりました」

 ファーサイドでクロスをヘッドで折り返したり、自陣からパス・アンド・ランで深みをえぐってクロスを蹴ったり、現在の三戸にはコンディションの良さが垣間見える。

「昨季後半戦は、90分間試合に出ることが一回もなかったと思う。今季前半戦はほぼベンチだった。今年に入ってから90分間出るようになってから『90分の身体』みたいになってきた」

次ページ「五輪出場にちょっと満足しちゃった自分が、たぶんいたんだと思う」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事