“全勝神話”が続く土居聖真。エースとの“無敗2トップ”でステージ制覇に挑む!

2016年06月19日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

着目すべきは、そのゴールの「時間帯」と「質」。

前半終了間際、金崎とのワンツーから値千金の同点弾を決めた土居(8番)。「悪い流れを断ち切る1点だったと思う」。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1第1ステージ16節]
ヴィッセル神戸 1-2 鹿島アントラーズ
6月18日/ノエビアスタジアム神戸

 敵地で神戸に逆転勝利を収めた鹿島は、第1ステージの最終節を前に、川崎を抜いて首位に躍り出た。

 遠藤康は「ちょっとみんな動きが堅かった」と試合を振り返る。6月18日に行なわれたJ1・16節で川崎が福岡に勝ち、鹿島が神戸に敗れれば、川崎のステージ制覇が決まっていた。負けられない鹿島は、前半にリードを許す苦しい展開だったが、土居聖真と遠藤のゴールで試合をひっくり返し、勝点3を掴み取った。
 
 チームの勝負強さを、昌子源は次のように語る。
 
「うちは最後まであきらめんと、前半のロスタイム表示が出ても、"とりあえず、前半を終わらせよう"みたいな考えはない。前半のうちに追いつければ、追いつく。そういう試合が今日はできていた」
 
 流れが悪くても、安易に「仕切り直し」を選ばない。貪欲にゴールを狙いに行く。そうした姿勢が、前半の終了間際に実を結ぶ。

 45分、中盤でマイボールにした小笠原満男が、土居に縦パスを通す。受けた土居は前を向いてゴールに直進。寄せてくる神戸の選手を十分に引きつけてから、金崎夢生に預け、リターンをもらうと、ワントラップしてシュート態勢に。右足をコンパクトに振り抜いて、ゴールネットを揺さぶった。
 
「あのワンチャンスで、あの時間帯で取れた。悪い流れを断ち切る1点だったと思う」(土居)

 ハーフタイムを挟んで仕切り直すにしても、0-1と1-1ではメンタル的に大きく違う。土居のゴールで息を吹き返した鹿島は、その勢いのまま、後半の早い時間帯に遠藤のゴールで逆転してみせた。

 土居はこれでシーズン5点目を記録。決して多くはないが、着目すべきは、そのゴールの「時間帯」と「質」である。5得点の詳細は以下のとおりだ。
 
■6節・広島戦(H/○4-1)8分(1点目)
■7節・湘南戦(A/○3-0)65分(3点目)
■14節・甲府戦(H/○4-0)45+2分(1点目)、47分(2点目)
■16節・神戸戦(A/○2-1)45分(1点目)

 14節の甲府戦でも、今回の神戸戦と同じく、前半終了間際にゴールを決めているが、その価値は極めて高い。甲府戦の前半は、ペースを握りながらも攻めあぐねた。このまま最初のハーフを終えれば、組織的な守備が機能していた甲府に流れが傾きかけてもおかしくない展開だったが……。
 
「聖真が前半の最後に入れてなかったら、たぶん、もっと固いゲームになっていたと思う」(昌子)
 
 終わってみれば、力の違いをまざまざと見せつける4-0の完勝だった。
 
 昨季の年間王者・広島を一蹴した6節でも、大量4ゴールの口火を切る先制点を開始早々に叩き込んでいる。今節の神戸戦も含め、そのゴールによって、試合の趨勢を決められる男――それが土居というアタッカーの真価だ。

次ページ試合を重ねるごとに、不動のエースとの連係は高まってきている。

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