停滞するミランの身売り交渉とチーム編成。本田圭佑は揺れる名門に残るべきなのか?

2016年06月17日 弓削高志

本田の契約延長オファーに関するファンの声はシビアだ。

2020年までの契約延長オファーが用意されたと報じられたが、ファンの"声"には放出に前向きなものも目立った。(C)Getty Images

 現時点でのミランMF本田圭佑の移籍金査定額は、700万ユーロ(約8億2000万円)程度とされている。
 
 残り1年で切れる本田の現行契約については「ミランのガッリアーニ副会長が2020年までの契約延長オファーを用意した」というイタリア現地メディアの報道が、6月上旬までに相次いだ。
 
 加えて『コリエレ・デッロ・スポルト』紙は「ガッリアーニは本田の代理人(兄・弘幸氏)に、プレミアリーグからのオファーがあるのならそれを断るよう要請した」とも報じ、『Calciomercato.com』など移籍情報サイト等も「中国資本へのクラブ身売りが成立すれば、本田はアジア圏でのマーケティングの鍵になるだろう」と続けた。

 本田の契約延長オファーに関する報道やそれに寄せられるファンの声を拾うと、シビアな論調も目立つ。
 
「低迷した今季のミランにあって、本田は数少ない"売れる"選手」、「もともとトランスファー・フリーで獲得した本田が700万ユーロで売れれば御の字」、「仮に買い手が見つかるのなら、契約延長だけでもしておけば、その分移籍金額を上乗せできる」……といった具合だ。
 
 契約期間は残り少ないが、高値売却が見込める選手の契約をあえて延長し、移籍金額を引き上げるのはメルカートでの常套手段だ。実際、英紙『デイリーエキスプレス』は「トッテナムとウェストハムの本田への関心は依然として高い」としている。
 
 ミランの来季チーム編成はどうなっているのか。
 オーナーであるベルルスコーニ元首相の心臓疾患とその手術によって、クラブの身売り交渉に遅れが生じていることは確かだ。2、3か月先と見られているオーナーの完全回復を待っていたら、新シーズンが始まってしまう。
 
 少しずつ漏れ出てくる交渉の中身によれば、中国側はなによりまず来季の監督人事に介入する意向を持っており、一方のベルルスコーニは、中国側へ少なくとも買収成立後5年間の巨大補強を約束することを過半数株式譲渡の条件としているらしい。

 中国側もベルルスコーニも、買収成立後のチーム大改造を望んでいることは明らかなのだ。
 

次ページ迷走する名門の10番であり続ける選択は、リスクが高い。

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