「誰も指図することなんてできない」ついに世界一の称号を手にしたヴィニシウス。“操り人形”から12戦8G6Aの“決勝戦男”へと大変貌【現地発】

2025年01月18日 エル・パイス紙

パチューカの監督もお手上げ

FIFA年間最優秀選手賞を受賞したヴィニシウス。(C)Getty Images

 今シーズンの開幕当初、バルデベバスの練習場では、ヴィニシウス・ジュニオールがどこか上の空状態にあると指摘する者が相次いだ。バロンドールへの執着と、サウジアラビアから舞い込んだ目まぐるしいオファーがそうした印象を与えていた。

 しかしシーズン序盤、成り行き任せのサッカーを続けたレアル・マドリーにおいて、ヴィニシウスは相変わらずの格の違いを示した。まだ全開とまではいかないものの、パチューカとの顔合わせとなったインターコンチネンタルカップ決勝では改めて大舞台での強さを証明した。

 とりわけ決勝戦において顕著で、2018年夏に加入して以来、通算12試合に出場し、8ゴール・6アシストを記録。パチューカ戦でも、ビシクレタ(またぎフェイント)を織り交ぜたドリブル突破からキリアン・エムバペの先制点をお膳立てし、PKから勝利を決定づける3点目を奪った。 

「先制点が生まれるまでは試合から消えていたけど、ワンプレーで決定的な存在になった」とパチューカのギジェルモ・アルマダ監督もお手上げだった。
 
 ヴィニシウスがマドリーの選手として決勝戦で初めて得点に絡んだのは、2018年のクラブW杯でのアル・アイン(マドリーが4-1で勝利)戦だった。すでに試合の趨勢が決していた時間帯に投入されると、左サイド深い位置まで侵入してガレス・ベイルにクロスを送ると、ボールは相手DFに当たってゴールに吸い込まれた。

 オウンゴールだったが、幸運なことにFIFAはヴィニシウスのアシストと認定した。その後の決勝戦におけるゴールラッシュは、フィニッシュワークに磨きをかける近年のヴィニシウスの成長の記録でもあった。

 プレーの幅が広がっていることもヴィニシウスのインパクトが大きくなっている要因の一つだ。中に絞る動きをレパートリーに加えた昨シーズンに続いて、チャンピオンズリーグ(CL)のアタランタ戦で示したように、今シーズンはロングレンジからのパスが増えている。

 その1得点1アシストの活躍により、ラージョ・バジェカーノ戦でイエローカードを受け、セビージャ戦を累積警告で欠場したため、2024年のラストゲームとなった一戦でMVPにも選出。最高の形で1年を締めくくった。

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