驚異的な成長曲線を描く小林祐希。「ひと回り大きくなった」と名波監督が評した試合とは?

2016年06月15日 小田智史(サッカーダイジェスト)

プラチナ世代の〝刺客〞は、「オフェンスに関しては国内でもかなりのクオリティ」(ハリルホジッチ監督)。

かつては自身のゴールを追い求める傾向が強かったが、今は「チームメイトの良さを活かすのが俺の仕事」と言う。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

「19歳でA代表に入る」
 3歳からサッカーを始めた小林祐希は、幼稚園の時にそう目標を設定したという。目標から遅れること5年、先のキリンカップでハリルジャパンに初選出され、ついに夢を現実のものとした。
 
 小林は、久々に現われた〝ファンタジスタ〞の雰囲気を漂わせる司令塔だ。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督もキリンカップのメンバー発表の際、「オフェンスに関しては国内でもかなりのクオリティ」と評した。
 
 かつては自身のゴールを追い求める傾向が強かったが、今は「チームメイトの良さを活かすのが俺の仕事」、「ボールを持ったらなんでもできる」と言い切る。「ゴールをイメージしながら、チームを引っ張れる存在」(名波浩監督)と言っていい。
 
 今季、驚異的な成長曲線を描くきっかけとなったのが、第1ステージ5節の大宮戦だ。44分にペナルティエリア左側でボールを受けると、カットインして利き足の左足からボールを持ち変え、右足を一閃。豪快にネットを揺らしてJ1初ゴールをマークした。
 
〝レフティ〞という一般的な括りから飛び出し、〝右も左もある〞危険な選手へ進化を遂げた瞬間だった。その後エースのジェイが不在のなか、11節・鹿島戦から自身初の3試合連続ゴールを決めてさらに自信を深めるが、名波監督も「大宮戦から(選手として)ひと回り大きくなった」と証言する。
 
 また、9節の広島戦で、中村太亮のゴールをアシストしたプレーも今季のハイライトのひとつだ。左WBの中村太が大外からゴール前に入ってくるのを視界に捉えると、アタッキングサードでボールをキープしながらタメを作ってから縦に鋭いロングボールをエリア内に通し、得点をお膳立てしたのだ。
 
 その時、名波監督は「ユウキ、それだよ!」と叫んだという。現役時代に名手として鳴らした指揮官の想像を超えるプレー。そう評してよかった。
 
 背番号4、レフティ、そして強気な発言――。数々の共通点から、「本田2世」とメディアが騒ぎ立てるようになった。本田圭佑からも「強いメンタルを伴った選手。自分の発言したことを実現してほしい」とのメッセージを送られている。

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